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第1章 はじまりはじまり

第13話 夢の中の

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ただ正妃の申し出の中でひとつ気になることは、

辺境伯の5歳になる女の子のことだった。

正妃の話では早くに母親をなくしているようだった。

自分が母親を亡くしたときは自分は大人だったが、

とてもとても辛かった。

5歳なら母親が恋しい年頃だろう。

幼い頃から母親がいなくて寂しい思いをしているだろう。

自分が母親を亡くしたとき、

父と弟を支えにしたように、

母親がいない分父親の辺境伯を頼りにして、

親子二人支えあって生きているのだろう。

そんなところに、自分のような面倒な事情を抱えた人間が行っても大丈夫だろうか。

母親を早くに亡くした女の子は傷つかないだろうか。

父親がとられたと誤解したりしないだろうか。

辺境伯との結婚は自分には勿体ないくらいの条件だが、

人を傷つけるようなことはしたくない。

今度正妃に会えたら女の子のことを聞いてみよう。

自分が行っても女の子に迷惑がかかるようなら

この話は断ろう。

そう決めたリアナは辺境に住んでいる女の子はどんな子だろうと思っているうちに眠ってしまった。

その夜久しぶりにリアナは朝までぐっすり眠れた。

真っ黒なくせっ毛の女の子が笑って自分に話しかけてくれた夢を見たが、

朝になったら夢のことは忘れてしまっていた。
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