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第1章 はじまりはじまり
第12話 愛したい
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正妃が用意してくれた部屋に移ってからリアナは一度も国王に会わずにすんでいた。
部屋の入り口には衛兵が昼夜絶えず三人はいてくれているそうだ。
世話をしてくれる侍女にも
正妃が鉄壁の守りをしいているから安心するように言われた。
頭ではもう国王に襲われることはないとわかっていても、
夜中に物音がするとどうしても怖くなって、
衣装箪笥に隠れて夜を明かすこともあった。
国王のことも怖かったが、
リアナはお腹の中の子も怖かった。
正確に言えばお腹の子が怖いのではなく、
生まれたこを愛してあげられないかもしれないことが怖かった。
父母が自分を愛してくれたように、
自分が弟を我が子のように愛したように、
お腹の子を愛してあげたかったが、
お腹の子が国王に似ていたら、
自分は子を心から愛してあげられないかもしれない。
お腹の子になんの罪もない。
頭ではわかっていた。
頭ではわかっていてもどうしても不安や恐怖は消えなかった。
そんな自分が情けなく、
お腹の子に申し訳なく、
リアナの頬はまた涙に濡れた。
『また暗い思考になってしまった。
いつまでも泣いていないでこれからのことを考えないと』
リアナはうまく回らない頭で正妃の申し出のことを考えた。
正妃の申し出は有難いことのような気がした。
国王からは離れられるし、
弟や父の近くに行けるのだ。
自分が恐れているお腹の子さえ伯爵家の実子になれるなら、
自分が愛せなくても
この子は幸せになれるかもしれない。
正妃の信頼が厚い辺境伯なら自分に手を出すこともないだろう。
自分にとっては申し分ない条件のように思えた。
部屋の入り口には衛兵が昼夜絶えず三人はいてくれているそうだ。
世話をしてくれる侍女にも
正妃が鉄壁の守りをしいているから安心するように言われた。
頭ではもう国王に襲われることはないとわかっていても、
夜中に物音がするとどうしても怖くなって、
衣装箪笥に隠れて夜を明かすこともあった。
国王のことも怖かったが、
リアナはお腹の中の子も怖かった。
正確に言えばお腹の子が怖いのではなく、
生まれたこを愛してあげられないかもしれないことが怖かった。
父母が自分を愛してくれたように、
自分が弟を我が子のように愛したように、
お腹の子を愛してあげたかったが、
お腹の子が国王に似ていたら、
自分は子を心から愛してあげられないかもしれない。
お腹の子になんの罪もない。
頭ではわかっていた。
頭ではわかっていてもどうしても不安や恐怖は消えなかった。
そんな自分が情けなく、
お腹の子に申し訳なく、
リアナの頬はまた涙に濡れた。
『また暗い思考になってしまった。
いつまでも泣いていないでこれからのことを考えないと』
リアナはうまく回らない頭で正妃の申し出のことを考えた。
正妃の申し出は有難いことのような気がした。
国王からは離れられるし、
弟や父の近くに行けるのだ。
自分が恐れているお腹の子さえ伯爵家の実子になれるなら、
自分が愛せなくても
この子は幸せになれるかもしれない。
正妃の信頼が厚い辺境伯なら自分に手を出すこともないだろう。
自分にとっては申し分ない条件のように思えた。
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