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第3章 王都にて(後)

第72話 嵐の翌朝

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嵐みたいな一日の次の朝、

ユーリの熱はちょっと下がっていたが、

まだ微熱が残っていた。

ユーリは朝一で様子を見に来てくれた母に、

ベッドに寝かされたまま、エレンのことを尋ねた。

「エレンたちは今日の昼過ぎには王都を出ると言っていたわよ」

ディアナはユーリの熱が下がったことに安心し、

優しくユーリの頭を撫でながら言った。

「母上、僕はどうしてもエレンに会って謝りたいんです。

昨日はエレンは悪くないのに、

僕のせいで嫌な思いをさせてしまって。」

しかも最後に見られたのは衛兵にお姫様だっこをされる姿だ。

このままお別れなんて辛すぎる。

「…わかったわ。

エレンと会えないか、テオドアール辺境伯に聞いてみるわね。」

でも無理はしないでと心配そうな顔をして、

ディアナはウィルにユーリの頼みを伝えるために部屋を出た。


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ディアナがウィルの部屋を訪ね、

ウィルにユーリの頼みを伝えていると、

エレンがひょこっと顔をだした。

「ディアナおばさま!おはようございます!

ユーリの熱は大丈夫?」

エレンはとてとてディアナに近寄りながら聞いた。

「ああ、エレン。おはよう。今日も元気ね。フフ。

ユーリのことを心配してくれてありがとう。

おかげさまでまだ微熱は残っているけど、

大分よくなったわ。」

「え。まだ微熱はあるのか。

じゃあかくれんぼは無理だね。」

エレンはひどくがっかりした。

「かくれんぼ?」

不思議な顔をしたディアナに対し、

ウィルがエレンのかわりに説明した。

「エレンはユーリ殿下と王宮の庭でかくれんぼするつもりだったんだってさ。

ユーリ殿下があんなことになっちゃったからいったんは諦めたんだけど、

今日ユーリ殿下の熱が下がったらもしかしたらかくれんぼができるんじゃないかと期待してたんだよ。」

落ち込むエレンの頭をポンポンしながらウィルは

王宮の庭師からしたらギリギリ未曾有の危機を回避できたって訳さと笑った。

「エレン、かくれんぼは無理だけど、

ユーリがお別れの挨拶をしたいと言ってるの。

でもまだ熱があるからベッドから出られないの。

出立前で忙しいのに悪いんだけど、

私と一緒にユーリの部屋に行ってくれないかしら?」

ディアナのたのみにエレンは自分の荷物はもうまとめてあるから大丈夫と言った。

「それにエレンもユーリとちゃんと挨拶したいしね( ´_ゝ`)」

短い時間だったがエレンはユーリを友達として認定していた。

「おや。この様子だとあの話も悪くないかな?」

ウィルは婿の話を思い出して呟いた。

「あの話?」

ディアナはウィルに対して怪訝な顔をすると、

ウィルは笑って、自分ももう荷物はまとめてあるから、

一緒にユーリに挨拶に行って、

そのときの様子でまた話すよと言った。
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