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この国では、双子の片割れは「悪魔の子」と呼ばれ、生まれたことすら知られることなく、処分される運命にあった。
ニア・エアレンデル・シルビアス……本来ならば、彼女もその運命を辿るはずだった。
しかし、彼女は生かされた。
ある、役割を果たすために――
「嫌よ!あんな得体の知れない人との婚約だなんて!……そうだわ、こんな時のために、私には代わりがいるんじゃない!!!」
それは、姉……ミアの身代わりになることだった。
姉に代わってニアが婚約したのは、公の場に一切姿を現さないナヴィガトリア国第二王子、ヴォルフラムだった。
ニアは一生、「ミア」として生きていくしかなかった。
誰にも本当の名前を明かせない。
誰にも本当の自分を知られてはいけない。
そんな彼女が、唯一、ニアに戻れる場所。
それが、教会の懺悔室だった。
「ありがとうございます、神父様。神父様の前でだけ、私は私でいられます」
「いいえ。ここでなくとも、あなたはあなたでいられるはずですよ。ニア……」
――そして私は、まだ知らなかった。
この懺悔室で出会った神父様が、私の運命を大きく変える人になることを。
文字数 6,978
最終更新日 2026.09.10
登録日 2026.09.09
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