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青春 連載中 長編 R18
 大学生の瑞己(みずき)は、過干渉な母の元育てられ、全てに無気力に生きてきた。  進学先も、着るものも食べるものも、全て母の意向に沿うように。例えば大学近くに時折出店しているキッチンカーのクレープでさえ、瑞己は食べたことがない。  けれどそんな母が、急死した。  突然の自由に、瑞己は戸惑う。そして自らが母の言葉や周囲に流されているだけの、空っぽな人間であることに気づいてしまった。  叫び出したいのに、それすら上手くできなくて。  衝動的に、ペン立ての鋏で髪を切った。毛束を引っ掴んで、気が済むまでざくざくと鋏を入れ続けた。鏡には、ぼろぼろの姿の自分が映っていた。  もうこんな自分は嫌だった。  髪型だって好きに変えたいし、着るものだって自分で選びたい。クレープだって、食べてみたい。  そうして、泣きながらも瑞己は決意する。    変わりたいと、強く願う。  と言っても、何から始めたらいいのかさえわからないけれど。でもまずは、このぐちゃぐちゃに乱れた髪を、整えてもらうたころからだろう。  そうして、瑞己は一歩を踏み出す。  一歩一歩、恐る恐る進んでみる。  瑞己は何を見て、何を感じていくのか。  今まで何事にも無気力に生きてきた女の子の再出発が、今、始まる。  髪の毛切ったら、クレープ食べて。  その先にあるのは、なんなのだろう。
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文字数 9,815 最終更新日 2024.01.22 登録日 2024.01.20
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