1
件
働かずして金を稼ぎたい。
そんなろくでもない思想の末に泥棒となった二十二歳の青年・レンは、ある夜、空き巣に入ろうとして二階から転落。そのまま呆気なく人生を終えた。
——はずだった。
次に目を覚ますと、そこは剣と魔法が存在する異世界。
過去を知る者はいない。
前科もない。
しがらみもない。
せっかく手に入れた第二の人生。今度こそ真面目に生きよう——などと思えるはずもなく。
レンの目に飛び込んできたのは、王都の中心に聳え立つ巨大な王城だった。
「あそこ、盗みに入ってみたいな……」
前世でも狙ったことのない、国で最も厳重に守られた場所。
泥棒としての好奇心に負けたレンは王城への侵入を決行する。
そこで同業者である猫獣人の少女・ティナと出会い、さらには衛兵から逃げるため、偶然一つの部屋へと忍び込むことになる。
そこにいたのは——この国の王女だった。
当然、衛兵を呼ばれる。
そう思ったレンに、王女は告げる。
「あなた、泥棒なんですよね?」
そして、ほんの少しだけ笑って——。
「でしたら私を、このお城から盗んでくれませんか?」
金貨、宝石、秘宝に魔道具。
金になるものなら何でも盗む、異世界の泥棒稼業。
そんな男が最初に盗むことになった大物は——国のお姫様だった。
文字数 4,413
最終更新日 2026.07.26
登録日 2026.07.26
1
件