「今日が楽しみで、早く起きすぎてしまって」
その一言が、耳に残った。
偶然見てしまったノートに、細かい字でびっしりと書いてあった。
今日の話題。歩く速度。失敗しないために。嫌われないために。
そして最後の一行。
※告白はしない(まだ早い)
ちゃんと向き合おうとする人だった。
不器用で、準備しすぎて、それでも震える声で誘ってきた人だった。
白石澪、二十四歳。
静かな毎日が、少しずつ変わっていく。
気づけば、コーヒーを選ぶ時間が長くなっていた。
告白は、まだ早い。
——でも、その言葉が、頭から離れない。
文字数 36,611
最終更新日 2026.05.25
登録日 2026.05.15