小太りゼニ麻呂

小太りゼニ麻呂

個人タクシー兼シンガーソングライター 年齢55 宜しく
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恋愛 完結 短編
警備員として20年働く「小生」は、自己嫌悪とユーモアが同居する男だ。 家族を心から愛していながら、父らしいことは何ひとつできず、 息子・猿蔵の苦しみに寄り添うことすら避けてきた。 自身を“黒い天使が造った最高傑作のクズ”と呼び、 幸せが怖くて、愛されることにも怯えている。 そんな男には、もう一つの世界がある。 原付で通う葛西臨海公園の警備の合間に、 時折会う晴美という若い女性とのひととき。 そして、晴美の「話がある」という突然の連絡。 夕暮れの公園で語られたのは、 「彼氏と別れた」という軽い話ではなく―― 晴美が、小生の“昔の恋人・真中冬子の娘”だったという事実。 彼女は、物置から見つけた母の古い青いガラケーで、 若き日の冬子と小生のメール・写真を見てしまう。 そこにいたのは、主張よりも相槌ばかりで、 “透明な箱のように空っぽな”若い小生だった。 母と娘、過去と現在、愛と後悔がひとつに重なる瞬間。 小生は、かつて愛した冬子の面影と、 彼女の娘・晴美の真っ直ぐな瞳に射抜かれ、 過去の自分と向き合わざるを得なくなる。 息子への悔い、妻への愛、 幸せからいつも逃げてきた自分。 それらすべてを抱えたまま、 小生は「透明な箱」を開けるように、 静かに、痛みとともに人生の意味を見つめ始める。
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文字数 5,597 最終更新日 2025.12.14 登録日 2025.12.14
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