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「やあ、可愛い泥棒猫さん。それ、俺の大事なものだからさ、返してくれない?」
辺境の砂漠の集落で生きる、サファイアの瞳の少女フィオが、禁忌の森で見つけたのは、満開の花の中に眠る骸と、静かに時を刻み続ける真鍮の『星紡ぎの天球儀(アストロラーベ)』だった。
そんな彼女の前に現れたのは、息を呑むほどに美しい魔導士アルヴィスの、『温度のない幻影(ホログラム)』だった。
フィオは彼の「骸(骨)」を背負い、世界各地にまだ残る豊かな緑を未来へと永劫に繋ぎ留めるため、彼を執拗に追う未来の非情な『調律者』の追跡を逃れる、緊迫した逃避行へと足を踏み出す。
触れ合えるのに、決定的な「温もり」だけが伝わらない──。 そんな切ない距離感の中で、フィオは不敵で嘘つきなアルに、どうしようもなく惹かれていく。 だが、アルが今も胸の奥で深く愛し続けているのは、かつて未来の世界で亡くした「フィオラ」という女性だった。
幻影の彼への切ない片想いを抱えながら、旅路で出会った星詠み師見習いの青年シルヴァに、どこにも言えない恋の悩みを零してしまうフィオ。
旅の終着点には哀しい別れが待っていると知りながらも。けなげに世界を救うため、そして彼の願いを叶えるため、フィオは美しく、過酷な世界を巡る旅を続ける──。
【第19回ファンタジー小説大賞のための書下ろし作品です】
文字数 69,028
最終更新日 2026.09.24
登録日 2026.08.29
「動くなよ、ひと斬りで逝くほうが楽だからな」
出会ったばかりの美しき同級生が向けてきたのは、闇を凝縮したような漆黒の刀だった。
ごく普通の女子高生・如月唯衣は、ある雨の夜に怪異に襲われ、その身に「核」を宿してしまう。
それは、暗闇の底から這いずるおぞましき怪異「喰核(くいざね)」を無限に呼び寄せる、呪われた灯火だった。
唯衣を守ろうとする、悲壮な封陣師・日向蓮。
神殺しの名のもと冷酷に刀を構える・烏丸律。
守るための生血と、殺すための刃。
相反する宿命を背負った二人の少年に囲まれ、唯衣の平穏な日常は美しくも残酷に狂い始める。
雨音と無機質な歯車の音が響く「隠れ宮の絡繰堂」で紡がれる、狂気と純愛の和風耽美ダークファンタジー。
【第19回ファンタジー小説大賞のために書き下ろしてみました】
文字数 162,213
最終更新日 2026.09.13
登録日 2026.08.08
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