自分の骸を背負う嘘つき魔導士と、星紡ぐ少女
「やあ、可愛い泥棒猫さん。それ、俺の大事なものだからさ、返してくれない?」
辺境の砂漠の集落で生きる、サファイアの瞳の少女フィオが、禁忌の森で見つけたのは、満開の花の中に眠る骸と、静かに時を刻み続ける真鍮の『星紡ぎの天球儀(アストロラーベ)』だった。
そんな彼女の前に現れたのは、息を呑むほどに美しい魔導士アルヴィスの、『温度のない幻影(ホログラム)』だった。
フィオは彼の「骸(骨)」を背負い、世界各地にまだ残る豊かな緑を未来へと永劫に繋ぎ留めるため、彼を執拗に追う未来の非情な『調律者』の追跡を逃れる、緊迫した逃避行へと足を踏み出す。
触れ合えるのに、決定的な「温もり」だけが伝わらない──。 そんな切ない距離感の中で、フィオは不敵で嘘つきなアルに、どうしようもなく惹かれていく。 だが、アルが今も胸の奥で深く愛し続けているのは、かつて未来の世界で亡くした「フィオラ」という女性だった。
幻影の彼への切ない片想いを抱えながら、旅路で出会った星詠み師見習いの青年シルヴァに、どこにも言えない恋の悩みを零してしまうフィオ。
旅の終着点には哀しい別れが待っていると知りながらも。けなげに世界を救うため、そして彼の願いを叶えるため、フィオは美しく、過酷な世界を巡る旅を続ける──。
【第19回ファンタジー小説大賞のための書下ろし作品です】
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