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『八雲立つ 時計坂下宿 管理人』
民俗学を学ぶ大学生・六道八雲は、東京の外れ、標高の高い坂の上に建つ古い下宿――
通称「時計坂下宿」の管理人を務めている。
だがこの下宿、ただの古家ではない。
家鳴り、化け猫、木の神、狸、狐、天狗、そして火の神 雨の神。
人ならざるものたちが、当たり前のように集い、住み、食べ、騒ぐ場所だった。
八雲は霊感こそ強くないが、
見え、聞こえ、察してしまう男であり、
高名な民族学者であった
祖父譲りの民俗学の知識と、淡々とした生活力で、
神と妖怪の「日常」を受け入れている。
雨神である澪と共に暮らし、
食い意地の張ったリス神クヌギに振り回され、
台所番人の化け猫漱石に睨まれながら、
八雲は大学で民俗学を学び、レポートを書き、
さらに 住民たちに美味し糧を与え続ける
そして――神々のいる日常を“観察”し続ける。
それは学問なのか、生活なのか、祀りなのか。
水は命である。
雨は空からの手紙である。
神とは、忘れられたときにこそ、静かに消える存在である。
これは、
神と人の境界に立つ青年と、
少し騒がしくて、少し優しい
「非日常の日常」の物語。
文字数 56,564
最終更新日 2026.08.14
登録日 2026.08.04
新たな王朝――錬王朝。
遷都から五年。都・燕京では、華やかな宮廷の裏で、皇帝に仇なす者たちが夜ごと姿を消していた。
人々は噂する。
闇を舞い、面を替え、音もなく命を奪う皇帝の秘密――**「御猫」**がいる、と。
その正体は、皇帝の異母弟・黄無明(こうむめい)。
帝弟でありながら表舞台には立たず、仮面をまとい、暗殺者として兄を守り続ける青年だった。
誰にも心を許さず、誰にも理解されない。
彼にとって舞とは、人を殺すための型であり、芝居だけが唯一、自分を「人間」に戻してくれる時間だった。
そんな無明のもとへ、新しい世話係として送り込まれたのが、北の寒村から出てきた少女・小桃(シャオタオ)。
食べるために宮中へ奉公に来ただけの、ごく普通の下女。
旅芸人すら訪れない村で育った彼女は、芝居も知らず、宮廷の陰謀にも興味がない。
だからこそ、宮中中が恐れる「御猫」を見ても怯えず、
「きれいな舞ですね」
と、ただ素直に笑った。
誰も近づかなかった青年と、
誰にでもまっすぐ向き合う少女。
決して交わるはずのなかった二人の日常は、少しずつ変わり始める。
荒れ果てた庵を掃除し、一緒に食事をし、舞を見つめ、名前を呼ぶ。
たったそれだけの積み重ねが、凍りついていた無明の心を静かに溶かしていく。
しかしその裏では、五年前に終わったはずの政変が再び動き始めていた。
炎の夜に消えたはずの皇子。
王朝を揺るがす陰謀。
そして、無明自身が隠し続ける「あの日」の真実――。
守るために人を斬り続ける青年と、
何も知らずにその孤独へ寄り添う少女。
猫は夜を生き、桃は春に咲く。
決して交わらないはずだった二人が出会うとき、王朝最大の秘密が静かに動き始める。
これは、美しい舞に秘められた殺意と、たった一人の少女が「御猫」の運命を変えていく、中華宮廷幻想譚。
文字数 7,612
最終更新日 2026.07.21
登録日 2026.07.21
大正十二年九月一日。
浅草・凌雲閣から帝都を見渡していたサーカス芸人・鳥海冬馬は、関東大震災ですべてを失った。
仲間も、恋人のお初も、夢を語り合った舞台も、一瞬にして瓦礫の下へ消えた。
一か月もの間、お初を探し続ける冬馬。しかし彼が夜の帝都で見つけたのは、人を喰らい、人の姿を真似る怪物「幻魔」だった。
銃も砲も通じない異形を倒せたのは、怪力芸、軟体芸、火吹き、剣呑みといった、舞台で磨き上げた芸を極めた冬馬ただ一人。
その力を見込まれた彼は、帝国陸軍の極秘組織「軍事探偵」として怪異討伐を任される。
黄金の仮面を被り、退魔の剣を飲み込み、夜の帝都を駆ける冬馬。
だが戦うほど、幻魔はただの怪物ではないことが明らかになっていく。
なぜ震災の日を境に現れたのか。
誰が幻魔を生み出したのか。
そして、お初は本当に死んだのか。
新たな住まいとなった蕎麦屋で、亡き恋人と瓜二つの娘・澄と出会った時、冬馬の運命は再び大きく動き始める。
震災の闇に隠された真実と、人ならざる者たちの陰謀。
これは、芸人の技で怪異を討ち、失った大切な人を追い続ける一人の青年が、帝都の運命を懸けた戦いへ挑む大正怪異活劇である。
文字数 4,359
最終更新日 2026.07.07
登録日 2026.07.07
小説家を目指す高校生・桐島亮には、人には言えない秘密がある。
物語に行き詰まると、彼は少女「リオ」に変装して街へ出る。 誰かになりきることでしか書けない物語がある――それが亮だけの創作法だった。
一方、転校を控えた少女・宮本梨央にも秘密があった。 息苦しくなると、少年「リョウ」に男装して街を歩く。 本当の自分を隠せる、その時間だけが心を自由にしてくれた。
そんな二人は、互いの正体を知らないまま渋谷で出会い、 そして勢いで――キスをしてしまう。
翌日、転校生として現れたのは、その「男の子」だった。 しかも秘密は、お互い様。
「昨日のことは……ノーカン!」 そう決めたはずなのに、運命は二人を逃がしてくれない。
さらに追い打ちをかけるように、両親から突然の再婚宣言。 昨日キスした相手が、まさかの義理の兄妹候補に!?
そして二人を結ぶのは、それだけではなかった。 幼い日の夢に現れる「指輪」と「約束」、忘れてしまったはずの初恋の記憶。
これは、男でも女でもない「誰か」を演じていた二人が、本当の自分と、本当の恋に出会うまでの物語。
笑って、ときどき胸が締めつけられる。 秘密だらけの青春ラブコメ、開幕!
文字数 15,960
最終更新日 2026.07.03
登録日 2026.06.30
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