七千凜紗

七千凜紗

読んで観て泣いて書いてます。
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ファンタジー 連載中 短編
目が隠れるほどの前髪にサングラス。顔以外を般若心経の刺青で埋めた体。 十九歳のコージは、事故物件のような古いアパートで一人暮らしをしている。 彼には、人には見えないものが視える。 部屋には毎日のように子どもの霊が遊びに来る。風呂のお湯はすぐ冷め、冷蔵庫のプリンは勝手になくなり、静かに動画を見る時間さえ落ち着いて過ごせない。それでもコージは、子どもたちを追い返すことはしない。 なぜなら、この子たちは、生きている間に「子どもらしい時間」をほとんど過ごせなかったから。 コージ自身にも苦い思い出があった。幼なじみのイトウとナカノ。子ども時代に差し伸べられなかった手を、大人になってから差し伸べる。実家の寺を出て、その役目を果たそうとする日々。 今日もまた、新しい子どもの霊が現れる。 新聞にも残らなかった子。 誰にも探してもらえなかった子。 「死んだから終わり」になってしまった子。 コージは彼らの話を聞き、遊び、笑い、時には一緒に泣く。 それは除霊でもなく、成仏させる物語でもない。 ただ、「生きたかった」という小さな願いに寄り添うための時間。 やがて、幼なじみたちの過去と、この力の本当の意味が少しずつ明らかになっていく。 これは、死者を救う物語ではない。 生きられなかった子どもたちが、もう一度笑うための物語。 そして、誰かを救おうとし続けた一人の青年が、自分自身もまた救われていく物語。 悲しいだけでは終わらない。 優しさだけでも終わらない。 読み終えたあと、大切な人に「おかえり」と言いたくなる、現代ファンタジー。
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文字数 23,401 最終更新日 2026.07.20 登録日 2026.07.18
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