過去の自分を振り返る人だけが成功する理由

「あなたのビジョンは何ですか?」に答えるたった1つの方法

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誰しも望む未来があります。しかし、その未来を実現できる人は、ひとにぎりだと考えていませんか? そんなことはありません。未来の自分を変えるヒントは、あなた自身の中にあるのです。過去に「目をつけ」「掘り下げて」「引き出す」。このプロセスの繰り返しが、あなたの未来を大きく変えるのです。ここでは、自分自身を「振り返る」ことで見えてくる、あなたが望む未来の導き出し方を紹介していきます。そう、あなたの過去は宝の山なのです。 

どうありたいのか

私は「夢」という言葉を使いますが、前述のように、ビジネスの現場では「ビジョン」などと呼ばれています。

「あなたのビジョンは何ですか?」

この問いに即答できる人は、なかなかいません。即答できるのは、日頃から考えている人か、頭の回転が速くてその場の空気を読める人くらいなものです。
日頃から考えている人が答えられるのはもちろんとして、空気を読める人は、問いかけてきた人が求めているものを察知して答えているだけです。
しかし、その場を取り繕って答えられたからといって、自分の人生が改善したり向上したりするはずがありません。
あくまでも、他人にどう見せるかではなく、自分はどう生きたいのか。どうありたいのかということが大事なのです。

それを探求するために、過去の自分を振り返ってみるのです。
自分が何に感動し、何に悦びを見出し、何にわくわくするのかは、過去の体験にあります。今の自分を形づくっているのは、過去の自分の経験だからです。

たとえば、あるときおいしい料理を初めて食べて、その味覚に目覚めた人がいるとします。その人はその後、もっとおいしい物はないかと食べ歩きをしていきます。うまい物、まずい物、さまざまな料理を食べていきます。彼にとってその食べ歩きの経験の総体が、現在の料理に対する好き嫌いをつくっています。過去の経験を振り返るとき、何が好きで、何が嫌いなのかが見えてきます。

仕事でも生き方でも同じことです。現在の自分が好きだと思っていることは、すべて過去の経験に基づいています。過去の中に、自分の判断基準となった体験や基準を示すヒントが眠っているのです。
日常をせわしなく生きていると、そういった過去が示すヒントを見過ごしてしまいます。だからこそ、時間を取ってしっかりと振り返りたいのです。

何を創りたいのか

自らの過去を振り返り、生き方や働き方、日々の過ごし方について理解を深めたとしたら、次に考えるべきは「何をしたいか」です。
つまり、どうありたいかを探求し、そのための素材を過去に探し出したら、次に、未来に「何を創りたいか」を探求するのです。具体的にやりたいこと、成し遂げてみたいこと、携わりたいことです。

ビジネスでいえば、商品・サービスなどの開発ということもあるでしょう。大きなプロジェクトに携わりたいとしたら、どんな規模のどんな内容のプロジェクトでしょうか。また、どんな実績をあげたいのでしょうか。どんな技術を身につけたいのでしょうか。人との関わりの場合は、どんな人間関係を築きたいでしょうか。
それを考えるためにも、振り返りが役に立ちます。

土台とすべきは何か

次に、過去から今後を生きるための知恵を探り出していくにあたって、さまざまな出来事を思い出し、味わっていきます。その味わったものから、土台と素材が創られているという考え方をすると便利です。
土台について、個人的現実における内面と外面から考えていきましょう。

過去の個人的現実の内面は、私たちの心で感じてきた過去です。これは、行動の指針となったり軸となったりします。過去の体験で感じたこと、考えたこと、思いなどを振り返るのです。
それを見つけると、今後生きていきたい方向性や価値観を明確にすることができます。自分が何に悦ぶのかという「悦びポイント」も見つけることができます。

「悦びポイント」とは、自分がむちゃくちゃ楽しくなったり、没頭してしまったり、充実しているなあと感じられる、状況や行動のことです。「悦びポイント」を刺激すると、脳内では快楽物質が出てきて、気持ちよくなってしまいます。
実際に快楽物質が出ているかどうかは確認できなくても、自分がとても気持ちよくなっているということは感じることができるので、気持ちよかったときの状況や行動を見つければ、自分の「悦びポイント」がわかります。

過去の個人的現実の外面は、実際にやってきた行動や実績です。運動部に入って体力をつけた方ならば、その肉体が過去の行動の総体を表す現在です。英語の勉強をしっかりやった証としてのTOEICの点数も実績です。留学したことがあるとか、旅行をして見聞を広めてきたなどというのも個人的現実の外面の実績です。

個人的外面は私たちの社会的現実とも接続しています。そのため、これまでに築いてきた人間関係、友人関係、職業やボランティアの経験などは、個人的外面の実績であり、同時に社会的現実の実績でもあります。
これまでに感じてきたこと、やってきたこと。これらが現在という土台を創っています。土台を認識するために振り返るのです。私たちは、ふわふわとした空間に浮遊しているのではありません。確固たる土台の上に立っているのだということをしっかり思い出すのです。

素材とすべきは何か

そのうえで、何をしたいのかに従って、過去の素材を探します。
フランスで仕事をしたいと考えるならば、新たにフランス語を勉強しなければならないかもしれません。もしも、かつて英語を一生懸命勉強したことがあるならば、語学学習のコツなどを思い出して活かすことができます。
語学はからっきしダメだという方も、勉強したりこつこつ努力して何かを身につけた体験を探してみましょう。

そうすると、バスケットボールの部活動でパスの練習をしたり、ゲームプランに基づいたオフェンスのパターンを何度も練習したことを思い出すかもしれません。
そのときに得られたコツや知恵を今後のフランス語学習に活かしたり、あのきつい練習を乗り越えることのできた自分なら、フランス語学習も乗り越えられるという自信にしたりすることができます。
未来にやりたいことは、現時点では骨組みしかありません。それを具体化し、肉づけするために、過去の経験から素材を探してきて、有効に活用するのです。


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プロフィール

藤由達藏
藤由達藏

1991年早稲田大学卒業後、文具・オフィス家具メーカーPLUSに入社。営業職、本部企画職、全プラス労働組合中央執行委員長等を経て、2013年9月に独立。コーチングを核に、各種心理技法や武術、ヘミシンク、労働組合、文芸・美術・音楽創作等の経験を統合し、「気分と視座の転換」を重視した夢実現応援対話技法を確立。2016年9月、株式会社Gonmatusを設立。夢実現応援家®を養成し、全国のビジネスパーソンの夢実現を応援している。

著書

過去の自分を振り返る人だけが成功する理由

過去の自分を振り返る人だけが成功する理由

藤由達藏 /
「過去の自分は宝の山である」をキーワードに、自分自身を振り返ることで、未来...
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