絶対に失敗しない起業術

成功者が必ず持っている「決める」という感覚は、凡人と何が違うのか?

2019.07.02 公式 絶対に失敗しない起業術 第24回
Getty Images

熱くても鍋を落とさない理由

冬に鍋料理をつくって、グツグツ煮えた鍋を食卓に持って行こうとしたら、想像以上に熱かった! という経験は、一度ぐらいあるのではないでしょうか?

私も、

「アチチチチ!」

と叫んだことが何度かあります。

しかし、今のところ、熱いからといって、手を離してお鍋を床にぶちまけるということはありませんでした。

「熱い!!」と叫びながらも、なんとか食卓にたどり着くまでは我慢して、すぐに手を水で冷やしていました。ちょっとヤケドしたこともあります。

こんなに熱いのに手を離さないのは、「鍋から手を離さない」と決めているからです。
ヤケドより、鍋をこぼすほうが嫌だと思っているからです。

これは当たり前の話かもしれませんが、これがまさに「決める」という心の状態です。
大袈裟に表現すると、少々ヤケドをしてもやり遂げるという「決意」です。

さて、ビジネスで失敗する人は、ひと言で言うと「やり遂げる」と決めていない人です。
こんな風に言うと、多くの人が「決めていたけどうまく行かなかったんだ」と反論します。

「やり遂げると決めていても、予想外のことがあってうまくいかないこともあるではないか!」と言うのです。

しかし、成功する人はそんなふうには考えません。
予想外のことが起こっても、とんでもないトラブルが起こっても、「それでもなおやり遂げる」と決めた人が成功しているのです。

少々熱かったからといって鍋から手を離さないように、少々トラブルが起こったとしても、ビジネスをやり続けるのです。

「決めたけどできなかった」はない

「そうはいっても、決めていたけどできなかったこともあるのではないか?」
という方もいるかもしれません。

例えば、
・約束の時間に行くと決めていたけど遅刻した。
・仕事をやると決めていたけど別のことをした。
・売上を100万円つくると決めていたけどできなかった。
などです。

電車が遅れて遅刻したから仕方がない。
家族に用事を頼まれたから仕方がない。
景気が悪くなったから仕方がない。

そういうこともあるかもしれません。

しかし、これは「決めていたけどできなかった」のではありません。
正しくは、「そもそも決めていなかった」というだけなのです。

「決める」というのは感覚ですので、文字でお伝えすることはなかなか難しいのですが、この感覚を掴むと起業家として成功にかなり近づきます。

本来の「決める」という言葉は、自分が必ずやり遂げると、心の底から決意した状態を言います。それこそ、少々天候が悪くても、体調が悪くても、状況が悪くても、です。

例えば、10億円の大きな商談があったとしたら、あなたは遅刻するでしょうか?

「雨が降ってきた」「電車が遅れた」
ということもあるかもしれませんが、多くの人は遅刻しないと思います。

遅刻しないように2、3時間前から近くに行っているかもしれませんし、もし飛行機で行かなければならない場所であれば、前日に前乗りするかもしれません。

それぐらい大事を取って行動しているはずです。
「絶対に遅刻してはいけない」
と、心の底から思っているはずです。

その感覚が「決める」ということなのです。

また、10億円の仕事であれば、家族の用事を頼まれたとしても、きっちりやり遂げて締め切りに間に合うように仕事をすることでしょう。

あまり想定できないケースかもしれませんが、もし、100万円の売上をあげなければ大事な人が殺されるとしたら、何とかして100万円を用意するのではないでしょうか。
決めるというのはそれぐらいの決意なのです。

多くの人は、「決める」という言葉をもっとアバウトに使っています。
ただ「やろうかな」と思っただけのことに、「決める」という言葉を使っていることもあります。

あなたが「決める」という感覚を掴んだときに、人生をコントロールすることができます。
人間は決めたときには必ず達成できるからです。

自分が「決めた」のか、「決めてない」のかを自分で判断できるようになると、途端に自分の取り扱いがうまくできるようになるのです。

まず決める!

私がクライアントに目標の確認をするときには、「決めた」かどうかを入念にチェックします。

「今月は100万円売り上げます」
という目標を表明してくれたときに、本当に決めたかどうかを確認するためです。

確認のために、
「もし、100万円達成しなかったら家族が殺されるとしたら、それでもこの目標で行きますか?」
というような質問をします。

それで答えが「はい」なら問題ありません。
しかし、それ以外の答えだと「決めていない」ので、結果が出ません。

「やろうと思っています」
という答えは当然ダメです。

「100万円ぐらい売り上げないといけないので」
という答えのときも、決めていないことがほとんどです。

無理して必死な表情で「やります」と言ったときも、決めていない場合が多いです。

決めているときは、素直に「はい」と答えます。もしくは、決意したということが伝わってきます。変な力みがありません。

心の中で決めていない目標を立てても達成できません。
達成できないとガッカリして、セルフイメージが下がります。それなら最初からギリギリ達成できるレベルの目標に下げてもらうのです。

また、「100万円を売り上げる方法が分からないので決められません」という人にも、同じ質問をします。

「100万円売り上げなければ、家族が殺されるとしたら、100万円売りますか?」
という質問です。
そうするとほとんどの人は「はい」と答えます。

「どうやってやるんですか?」
と私が聞くと、方法が分からないと言っていた人も、
「いろいろ考えると思います。何とかします」
と答えます。

これが「決めた」状態です。

成功する起業家は、まず決めます。
「成功する」と決めるし、「結果を出す」と決めます。

一方で、うまくいかない人は、まずやり方を探します。
その結果が出せるやり方が見つかったらやる、というわけです。

しかし、ビジネスにおいて、最初から成功するやり方がわかっていることはありません。
当然ながら、最初からやり方が分かっていた起業家はいません。
すべての起業家は、自分の道を自分で切り開いていったのです。

まずやると決めて、それからやり方を探すのです。
やり方が分からなくてもやる。これが成功する起業家の態度です。

だいたい、大きなことを成し遂げる人の宣言は次のようなセリフです。
「私は、これを必ず成し遂げます。やり方はまったく分かりません!」

ご感想はこちら

プロフィール

今井 孝
今井 孝

株式会社キャリッジウェイ・コンサルティング
代表取締役

大手IT企業でいくつもの新規事業開発を手がけ、初年度年商が数億円を超える事業で社内アワードを受賞。その実績をもとに意気揚々と独立したものの、スモールビジネスの成功法則を知らなかったため、いきなり挫折。セミナーを開催しても閑古鳥が鳴き叫ぶばかり。挽回のために数百万円を投資して作成した教材はほとんど売れず、部屋を占領する在庫の山に。ネット広告につぎ込んだ資金は一瞬で消えてしまい、胃の痛みと闘いながら起業1年目は終了。
その後、10年連続300人以上が参加するセミナーを主催。トータルでは6,000人以上に。
集客できるようになった一方で、毎回結果を出すことに囚われるようになり、「やらなければ……」という苦しさを味わい、その結果、数多くの経営者から学びを得て“過程を楽しむ”という本質に到達した。売上に執着し過ぎることを消し去ったのは「誰かのために貢献し続けたい」という思い。そこで、ビジネスを心から楽しめるようになる。
それらの経験を踏まえたマーケティングとマインドに関するさまざまな教材が累計3,000本以上購入されるなど、3万人以上の起業家にノウハウや考え方を伝え、最初の一歩を導いた。
誰にでもわかりやすく、行動しやすいノウハウと伝え方で、「今井さんの話を聞いたら安心する」「自分でも成功できるんだと思える」「勇気が湧いてくる」と、たくさんの起業家に支持されている。

著書

必ず成功する起業の心得

必ず成功する起業の心得

今井 孝 /
アルファポリスビジネスの人気Web連載の書籍化。自身の経験を元に、独立・起業す...
出版をご希望の方へ

公式連載