リーダーシップの身につけ方

リーダーに求められるものとは-15

2016.08.08 公式 リーダーシップの身につけ方 第21回

生きることの根本をよく考えるべき

37 成功とは人間的な成長である

私はこれまでたくさんのリーダーにお会いしてきましたが、とりわけ印象深かった人物に、ザ・ボディショップ創業者のアニータ・ロディックさんがいます。

ザ・ボディショップ発展の背景には、アニータの「世の中には不安につけ込んだ販売が多い、これは道徳に反しているのではないか」という思いがあったといいます。

だからこそ、彼女はウソをつかないビジネスを目指しました。
あらゆるビジネスが「女性」の考え方、すなわち愛、思いやり、直感といった資質で動かされれば、計り知れない改善がもたらされるだろうと。

ザ・ボディショップは、環境保護や人権擁護にも力を入れました。そして、そのアニータの考えが広く受け入れられ、事業は大きく成功しました。

私はザ・ボディショップの社長として、いつもプレッシャーを感じていました。「自分はアニータのような立派な人にはなれない」という思いがあったからです。

ただ、アニータの取り組みを見て、私は「絶対的なレベルは違うけれど、向かっている方向は同じだから」と自分を慰めていました。
そのことは、彼女も気づいてくれていたのだと思います。

アニータは亡くなったとき、数百億円ともいわれる遺産を、自分の娘には残さずに財団に寄付したといいます。生きているときからそう宣言し、自分の本にも書いていました。

彼女は自分のことは経営者ではなく「アクティビスト(社会変革の活動家)」だと言っていました。素晴らしい生き方ですし、それを最後まで貫いた人だと思いました。

世間一般では、成功することは、お金持ちになることや、高い社会的地位を手に入れることだというイメージが持たれています。しかし、本当にそうなのでしょうか。

仮に、人間として正しい行いをせずにお金持ちになったり、高い社会的地位を手に入れたりして、それが本当に成功といえるでしょうか。

生きることの根本の部分をよく考えてみるべきだと思います。

成功は、目指すべきものではないのです。人間的な成長こそが、必要です。
そして、人間的な成長をすること自体が、成功だと思います。


続いて第4回の課題は
「あなたにとっての人間的な成長とはどんなことを指しますか?」です。

(次回に続く)

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プロフィール

岩田松雄
岩田松雄

1958年生まれ。大阪大学経済学部卒業後、日産自動車株式会社に入社。同社にて幅広い業務を経験後、米国UCLAアンダーソンスクールに留学。その後、外資系コンサルティング会社ジェミニ・コンサルティング・ジャパン、日本コカ・コーラ株式会社役員を経て、株式会社アトラス(ゲーム会社)の代表取締役として、三期連続赤字の企業を再建。さらに株式会社タカラ常務取締役を経て株式会社イオンフォレスト(ザ・ボディショップ)の代表取締役に就任。店舗数を一気に増加させ、売上を67億円から約140億円に拡大。そしてスターバックスコーヒージャパン株式会社のCEOとして「100年後も光輝くブランド」というコンセプトを掲げ、業績を急回復させ再成長させる。これらの功績が認められ、UCLAビジネススクールより全卒業生3万7000人の中から「100 Inspirational Alumni」
('92年卒業生ではただ一人)に選出される。
現在は株式会社リーダーシップ・コンサルティングの代表取締役CEOであり、次世代のリーダー育成に注力する傍らで、立教大学の特任教授として教鞭もとっている。主に「リーダーシップ」に関するテーマにてこれまで著書は30万部を超える『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』はじめ多数。「リーダーシップ」に関する日本の第一人者として日本のビジネス界を牽引する人物である。
HP: http://leadership.jpn.com
Facebook: https://www.facebook.com/Leadership.jpn?pnref=lhc

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