デキる人はメールの件名をおろそかにしない

2019.02.28 公式 伝わる文章術 第22回
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メールの件名は自分のために使おう

かなり前に送ったメールの件名(ヘッドライン)がそのまま残り、すでに話題は別のテーマに移ってしまっているにもかかわらず、いつまでも「RE:○○の件」となっていることがよくあります。それでもメールのやりとりに支障はないのですから、多くの人にとって件名はあまり意識されていないと言えるでしょう。

そんな軽視されがちな件名(ヘッドライン)ですが、役に立つこともあります。たとえば次回の会議について関係者にメールで連絡をするとします。会議の連絡といっても、単なる予定のリマインド目的か、議題について事前準備を促す目的かでメールの本文は違ってきます。

会議予定のリマインドを目的としたメールであるにもかかわらず、件名を明確にしていないとついつい余計なことも書きかねません。
それが下記メールです。

<文例A 件名なしのメール>
件名 次回の会議について

お疲れさまです。
次回の会議についてご連絡します。
前回議長からもお話がありましたが、働き方改革に関し各部署の現状と社員の意見、および出席者各自の意見を次回会議までに取りまとめてください。
日時 〇月×日 15時~16時 於 本社B会議室
議題 わが社の働き方改革
また、働き方改革についての記事や他社の取り組み等についても、有意義な情報がありましたらできるだけ集めるようにお願いします。

上記メールで日時、議題以外の文章まで気にかける人は半分くらいでしょうか。本来メールの目的は予定のリマインドですから、件名をその点に絞り込んでおけば、あまり余計なことまでは書かなくて済みます。

それが下記のメールです。

<文例B 会議予定のリマインドを件名で明確にしたメール>
件名 次回会議の日時をご案内します

お疲れさまです。
次回会議のご連絡をします。
日時 〇月×日 15時~16時 於 本社B会議室
議題 わが社の働き方改革

混乱したときは「テーマに返れ」が文章の基本です。メールの件名(ヘッドライン)は相手に用件を伝えるだけでなく、自分がメールの本文を書くときに迷走を防ぐ、本文をまとめるのに苦労しないという効用があるということになります。つまり、自分のために役立つのが件名ということです。

ヘッドラインを上手にまとめる技術

件名(ヘッドライン)で用件をまとめるといっても、この作業は案外簡単ではありません。件名は一行が基本。伝えるべき用件を一行にまとめるには、かなりの工夫を要します。それでも一行にまとめる過程では、自分自身でも、結局、何が言いたいのか明確になるので、件名をまとめることは本文をまとめることにもつながります。件名をまとめるには、まず伝えるべき用件を整理整頓しなければなりません。

<例文C 用件を整理整頓しないままの件名>
件名 働き方改革の進め方について

働き方改革は政府の進める政策であり、わが社でも取り組むことにしました。
働き方改革の一環として、まず残業を減らすことに着手します。
当面の目標は、会議の数を減らす、会議のやり方を効率的に改める、です。
各部署におかれましては、ムダな会議をやっていないか、ムダに会議に時間をかけていないか、改めて見直してください。

用件が「残業を減らす」「会議のやり方を減らす」「会議のやり方を改める」と多すぎるため、件名が大きくなっています。そのため本文も何を言いたいのかが不鮮明です。

<例文D 用件を整理整頓した件名>
件名 会議見直しについて

働き方改革は政府の進める政策であり、わが社でも取り組むことにしました。
そこでムダな会議がないか、部署ごとに会議を改めて見直してください。

文例Cの用件を整理すれば、ムダな会議がないかを見直すことに落ち着きます。すると件名は「会議を見直しについて」となり、件名がまとまったのでメールの本文も自ずと短く簡潔なものとなりました。件名がまとまれば、メール本文もまとまるということですので、件名の整理整頓は一石二鳥の作業ということもできます。

見た目をスッキリさせる技術

せっかく苦心して核となる用件を件名(ヘッドライン)にまとめても、メールの本文が長々としたものでは、見た目もシャープではありません。前回述べたとおりメールの用件は、3行を超えないということが原則ですが、もうひとつ気を付けたいのが一文を数行にわたる長文としないことです。

<文例E 一文が長々としているメール>
件名 ムダな会議の代表例

会議に関するムダとしてよく見かけるのは、部門間の連絡会議を同じ議題なのに別々に何度も開いているケースであったり、メール等で個々に伝達できることを全員が一堂に会して行うケースや、無用な会議資料を過剰に用意することなどが代表例です。

上記の文は、メールの一文としてはやや長いといえます。改善方法として、伝えるべきポイントを箇条書きで表記するというのも比較的簡単な方法です。

<文例F 論点を箇条書きにしたメール>
件名 ムダな会議の代表例

ムダな会議の代表例は次の3つです。
(1)部門間の連絡会議を同じ議題なのに別々に何度も開いている
(2)メール等で個々に伝達できることを全員が一堂に会して行う
(3)無用な会議資料を過剰に用意する

一文が数行にわたって長々と続いているメールに比べると、箇条書きでも一行にコンパクトにまとまっているとスッキリした印象になります。

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プロフィール

亀谷敏朗
亀谷敏朗

1984年中堅ビジネス書出版社だった中経出版に入社。本づくりのかたわらセミナー事業、コンサルティング・ビジネスにも携わる。また、在職中は中小企業から一部上場企業までを横断した、企業内の教育担当者の異業種交流会を主催した。
2004年フリーの出版プロデューサーとして独立。主にビジネス書作家のデビューを支援する。
支援の一環として、新人作家の原稿づくりのアドバイスを手掛けたことから、改めて伝わる文章の研究を始める。
「名文は要らない」、「読者と編集の立場から見たわかりやすい文章」に軸足を置いた方向で、新人作家には文章の書き方をアドバイスしている。

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