では、その反撃方法を、順を追って解説していこう。
相手からなめられたと感じたとき、私たちは怒りやモヤモヤを抱える。しかし、それがなぜ損なのか、どれくらい損しているのか、具体的にとらえられない人が多いのではないだろうか。なんとなくムカつく。軽く見られた気がしてモヤモヤする。このようなあいまいなとらえ方では、反撃の戦略は立てられない。自分さえ我慢すれば済むと考えてしまうかもしれない。もしくは、いずれ我慢の限度が来て爆発してしまうこともあるだろう。
なめられる態度を許すか? それとも反撃するか? それは感情で決めるのではなく、もっと冷静に、そろばんを弾いて計算するべきだ。つまり、目に見える形で金額として把握するのだ。どのくらい損しているのか金額で把握できるようになれば、我慢できるのか、反撃するべきなのか、行動に移しやすくなる。
では、被害はどんな観点で計算すればいいのか? 次の3つが指針になる。
たとえば、軽く扱われ、毎週3時間程度の雑用をさせられたとする。まずは、あなたの価値を時給換算で把握しよう。ここでは仮に、2000円になったとする。そして、週3時間×月4週=月12時間の損失が生まれたと計算し、12時間×2000円=月2・4万円の損失になったとしよう。
なお、雑用をさせてきた相手が、自分にとって重要な相手、たとえば人事権を握っている上司だったり、尊敬している先輩だったりするなら、この計算は意味をなさない。月2・4万円の損失があったとしても、それを上回る利益を享受しているかもしれないからだ。
しかし、なめてくる人物とそうした関係性でないなら、この月12時間、金額にして2・4万円の損失は、人間関係の損切りラインとして十分だろう。
続いて、別のシチュエーションを考えてみよう。毎日顔を合わせるたびに不快な思いをし、集中力が落ちてオフィスに行くのが億劫になる、そんな天敵のような相手がいるとしよう。こうむっている損失は、その人物がいると普段より作業が遅れる、だけでない。何をしてもバカにしてくるので、堂々と意見を言って提案をするような行動さえはばかられるようになっている。
このような、心理的ストレスに根ざした実害がある場合、数値化するのは先ほどよりは難しいが、ざっくりとした感覚でかまわないので、どの程度のパフォーマンスが落ちているか、割合でとらえてみよう。
そして、その低下したパフォーマンスによって、どの程度給与に影響が出ているかも数字として把握するのだ。
今回の例の場合、その人物とかかわるストレスによって、普段の8割しか出力できていないとしてみる。それに加えて、本来出せていた意見や、手を挙げることができたであろう新たな仕事への挑戦もくじかれて昇給・昇進チャンスを逃していることも含めて、最終的に給与の1割が奪われていると考えるとしよう。
こうして、ざっくりでもとらえてみると、仮に被害をひと月に限定しても、数万円に及ぶという推測が立てられるだろう。この金額を目にすれば、なめてくる人物への対策を急ぐべきだと、意識できるようになるはずだ。
昇進のチャンスや案件の打診を、だれかのなめた態度で潰されたケースもあるだろう。たとえば次のような事態だ。
・横入りされて、役職を逃した
・誤情報を伝えられ、クライアント案件を外された
このような、潰された未来も損害としてカウントすべきだ。1度のなめ行為が、年収100万円の差を生むことすらあるのだ。
このように、冷静にそろばんをはじけば、相手を野放しにしてなめっぱなしにさせておくことで積み上がる経済的損失が、じつは無視できないレベルに達していることに気づかされるだろう。
なめられたときに、感情に任せて怒りで動けば、周囲や相手からは「感情的なトラブルメーカー」と見なされ、損をするのはあなた自身かもしれない。しかし、金額を計算し、「これ以上の損失は避けたい」と判断できれば、怒り任せの反撃ではなく、正当防衛として、冷静に行動に移すことができるだろう。