Z世代を甘やかすな

休みの連絡をLINEで送るZ世代部下…その理解不能な思考回路とは

2026.02.06 公式 Z世代を甘やかすな 第4回
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「残業したくないんですよね」「それって僕の仕事ですか?」「飲み会ダルいんで行きたくないです」「そのやり方タイパ悪くないですか?」

指示は素直に聞かず、指導をすれば「それってパワハラですよね?」と口答え。世間は「価値観のアップデート」を強いてきて、Z世代への指導はどんどん弱腰になってしまう。好き勝手にふるまうZ世代部下のおかげで、職場の空気は弛緩する一方です。つけあがってさらにモンスター化するZ世代部下は、あらゆる職場に出現し、管理職を困らせています。そんな現状に、ビジネスライターの黒坂岳央さんは「Z世代を甘やかしてはならない」と警鐘を鳴らします。Z世代部下にかき回された職場を正常化するために、Z世代を甘やかさない、毅然としたコミュニケーションを身につけましょう。

Z世代が「デジタルネイティブ」は嘘

休みの連絡はLINEだけ、大事な相談もチャットのメッセージ一通で済ませる。あるいはリモートワークを隠れ蓑にして、進捗報告を曖昧にしながら仕事の手を抜く。「今どき、これが普通ですよ?」と言わんばかりのZ世代の振る舞いに、管理職世代がモヤっとした違和感を覚えるのは、感覚が古いからでも、ましてやデジタル化に追いつけていないからでもない。

Z世代は「デジタルネイティブ」。メディアではZ世代をそう持ち上げる。確かに、一部のZ世代がITスキルを駆使して起業し、大成功を収めるニュースを目にすれば、DX化の波が及ぶ社会では、Z世代は頼りがいのある存在に感じるかもしれない。だが、その期待は残念ながら幻想である。

Z世代の大多数は、単なるスマホネイティブであって、PCネイティブではないからだ。この2つは、似ているようで決定的に違う。若者はTikTokやInstagram、YouTubeといったアプリを、直感的に使いこなす能力には長けている。だがそれは、あくまで「消費者」に過ぎず、「生産者」とはいいがたい。

スマホとPCを使った仕事の最大の違いは、フローとストックで説明が出来る。簡単に言えば、スマホは流れて消える世界であり、PCは積み上げて管理する世界という違いだ。この構造化の概念の差はあまりにも大きい。スマホでスピーディーに操作が出来ても、蓄積された情報のデータベースを上手に使うこととはまったく別スキルが要求される。

ビジネスの中核は、PCを使った生産活動にある。具体的には、資料作成による論理の構築、データ分析による仮説検証、情報セキュリティの概念を理解したリスク管理、そして専用ツールによる実務の遂行だ。これらはすべて、生産デバイスとしてのPC操作能力が求められる。音楽も文章も動画も、知的な付加価値を伴うプロフェッショナルな制作物は、基本的にはPCで作り、スマホで消費する構図がずっと維持されてきた。TikTokでダンス動画をアップするといった行為は、既存のプラットフォームが用意したレールの上で反応を返す「消費の延長線上にある表現」に過ぎず、ビジネスにおける価値創造としての生産活動とは、明確に一線を画するものである。

スマホで完結する世界に育ったZ世代は、一見してデジタル強者に見えるが、実のところ社会に出て初めて、いきなり「Windows」という未知の領域で戦うことになるのだ。

実務経験のないITスキルは砂上の楼閣

ビジネスの現場でITスキルが革命をもたらしたのは、既存のビジネスロジックや、実務の現場に、効率化のツールとして持ち込まれたからだ。つまり、現場の課題を知り尽くした人間がツールを用いたからこそ、成果に繋がったのである。Z世代のように、現場の実態を知らずにツールだけをいじくり回していても、それはデジタル強者とは呼べない。

管理職世代は、激務の現場で判断を迫られ、失敗し、修正し、責任を取ってきた。その過程で、会社独自のシステム、複雑な決裁フロー、過去のトラブル事例、暗黙のルールを身体感覚として身につけている。

「どの数字が経営判断に直結するのか」、「どこでミスが起きると致命傷になるのか」、「誰に根回しをしておかないと話が止まるのか」。こうした実務経験こそが仕事の土台であり、ITスキルは、その仕事の結果を出力・実現するための、プラスアルファのツールに過ぎない。

実務を知らない若手が、いくら最新ツールを握っても、それは料理器具がそろった厨房に、レシピだけ暗記した料理未経験者が立つようなものだ。便利な調理器具が登場したからといって、料理未経験者がおいしい料理を作れるわけではないし、成果物には明らかな差が出る。高性能なオーブンやレシピサイトが登場しても、すべての人が一流シェフになれなかったのと同様である。

仕事も同じことが言える。仕事の優位性の本質とは、これまでの実績と、再現性のある技術や経験である。プログラミングとて、本質的に問われるスキルとは「プログラミングスキル」というより、「クライアントの課題を正確にヒヤリングし、解決する形で成果物を納品する力」なのだ。

「今どき、AIやITツールが充実しているので、スマホさえあれば、あなたたちよりも効率的に、優れた仕事ができる」などとのたまうZ世代は、ひどい勘違いを拗らせている。

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プロフィール

黒坂岳央
黒坂岳央

1981年大阪府生まれ。実業家。学生時代から人間関係でなめられることに苦しみ、社会に出ても理不尽な扱いを受け続けた経験を持つ。しかし、その経験を逆手に取り、なめられないための戦略を研究、体系化した。現在は、本業のかたわら、アゴラ、プレジデント、Yahoo!ニュースなどネットメディアでニュース・オピニオン記事を執筆し、PVの最高値は1記事で150万PV超。テレビ朝日系、TBSラジオなどテレビ・ラジオ番組にも多数出演している。なめられる弱者だった立場から、自らを研究対象として積み上げてきた経験を土台に本書を執筆している。

著書

なめてくるバカを黙らせる技術

黒坂岳央 /
世の中「なめてくるバカ」が多すぎて、共感、感動、絶賛の声殺到! 大人気Web連...
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