Z世代を甘やかすな

「成長はしたいけど、努力はしたくありません」30代に突入したZ世代社員が直面する現実

2026.04.17 公式 Z世代を甘やかすな 第9回
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プライベート重視の割合が増え続けている

この彼らの矛盾した要求は、フィットネスジムのアナロジーを用いると非常に分かりやすい。彼らは「立派な筋肉が欲しい」と言って、自ら高い会費を払ってジムに入会してくる。しかし、トレーナーが怪我をしないように1キロの軽いダンベルを渡すと、「こんな軽い負荷じゃ、全然筋肉がつかないじゃないか!タイパが悪い!」と激怒する。そこでトレーナーが「よし、筋肉をつけたいんだな」と、本格的なトレーニングのために20キロの重いバーベルを渡すと、今度は「重すぎる!筋肉痛になって不快だ!怪我をしたらどう責任を取るつもりだ!これはハラスメントだ!」と泣き叫ぶのである。
ここでいう軽い負荷が「ゆるブラック企業」であり、本格的なトレーニングが「ブラック」という解釈となる。誰が見ても極端すぎると思うだろう。彼らが求めているのは、適切な負荷によるトレーニングではない。一切の汗をかかず、筋肉痛という痛みを伴わずに、飲むだけで一瞬にしてバキバキの筋肉が手に入る「魔法のプロテイン」なのだ。しかし、現実のビジネスにおいて、ストレスや責任、失敗の恐怖といった負荷を一切背負うことなくスキルや実力という筋肉がつくことなど、絶対にあり得ない。資本主義の原理原則である「ノーペイン・ノーゲイン(痛みなくして得るものはない)」から外れた魔法のアイテムは存在しない。成長はしたいが、それに伴う痛みやリスクは1ミリも引き受けたくない。この彼らの頭の中にだけ存在する「無菌室のタイパ成長」という強烈なバグが、現場のマネジメントを大いに狂わせているのである。

誰にも信用されずに孤立するZ世代部下

Z世代の言動には、我々上の世代からすると理解に苦しむほどの強烈な「矛盾」が内包されている。現場の管理職が疲弊し、彼らを「面倒くさい生き物だ」「宇宙人だ」と怒りを覚えてしまうのも無理はない。一方で、現代日本では働き方改革の進展により「ゆるすぎる」職場が増えた。新卒入社のZ世代が成長を実感できず、「成長・キャリアへの不安」に焦りを募らせるのも、これもまた理解できなくもない。しかし、「ゆるすぎる」教育、「ゆるすぎる」職場しか経験していないZ世代は、成長のための努力に耐えられない。生育環境故の、悲哀の世代ともいえよう。このままではZ世代は「成長したい」という自意識だけを肥大させ、一方でマニュアル通りの定型業務しか経験せず、30代になった時に履歴書に書ける実績を何一つ持っていないことに気づくだろう。その時になって「成長できる環境をください」と叫んでも、もはや誰も見向きもしないのだが。

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プロフィール

黒坂岳央
黒坂岳央

経営者。ビジネスジャーナリスト。1981年、大阪府生まれ。
関西外国語大学在学中、デポール大学(米国)へ留学、会計学を専攻する。卒業後、ブルームバーグ、現SpireX株式会社、コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社を経て独立。現在は経営の傍ら、幅広い人脈を活かした取材力を武器にジャーナリスト・コラムニストとしても活動。新聞やWebメディアへの寄稿をはじめ、テレビ・ラジオなど多彩なメディアに出演し、独自の視点から情報発信を行っている。『なめてくるバカを黙らせる技術』(アルファポリス)をはじめ著書多数。

著書

なめてくるバカを黙らせる技術

黒坂岳央 /
世の中「なめてくるバカ」が多すぎて、共感、感動、絶賛の声殺到! 大人気Web連...
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