そして当のZ世代社員たちはといえば、転職すること、いや、一年、半年、ものの数週間で退職することをまったく恥じていない。まず彼らは「会社が悪い」と被害者面をし、アプリゲームで慣れ切った「リセマラ(リセットマラソン)」を繰り返す。なんならば、「仕事が辛い」「上司が厳しい」と嘆くサラリーマンたちを「なんで辞めないの?時間の無駄じゃね?」と嘲笑する。
かつての日本社会において、企業と個人の関係性は忠誠契約型であった。労働者は企業に対して滅私奉公に近い形で義務を果たし、企業はその見返りとして終身雇用や年功序列という形で長期的な庇護を与えた。そこには「まず自らが泥くさく義務を果たして信頼を築き、その後に権利を主張する」という明確な順序が存在していた。
しかし、現代のZ世代を中心とする自称・合理主義者たちの間に、そのような発想は微塵もない。彼らにとって会社とは、忠誠を誓う共同体などではなく、「自らの市場価値を高めるための投資対象」、あるいは「成長機会と心理的安全性を提供してくれるサービス」に過ぎない。
そのため「成長できない」と思えば、下積みという発想はなく辞める。「給料が安い」と思えば、より即物的にお金を稼げる選択へ向かう。……30代半ばを超えれば嫌でも責任ある仕事を任され、月給が年功序列で大幅に上がることも知らずに。
近年、爆発的に利用者が増加している退職代行サービスの隆盛は、このマインドの最たる例である。彼らは、上司に直接退職の意思を伝え、引き継ぎを行うという社会人として当然のコミュニケーションすら放棄し、数万円の手数料を払って外部業者に丸投げする。これは彼らにとって労働問題の解決やキャリアの決断などではなく、気に入らなかったサブスクリプションの「解約ボタン」を押すのと同じ、ガチャでノーマルキャラクターが出たのが気に入らず、SSRが出るまで「リセマラ」するのと同じ、単なる消費者行動にほかならない。
Z世代社員はAIを駆使し、面接や履歴書を当たり障りない内容にすることには長けている。コンプライアンス意識が高まり、つっこんだ質問ができない近年の採用は、人事部にとって「目利き」をより難しくしている。
しかし、中途採用のZ世代社員であれば1つ、明確な「踏み絵」がある。それは。「あなたは前職を辞める時、退職代行を利用しましたか?」という質問だ。むろん、「はい」と答える求職者は論外である。一方、小賢しい求職者の中には嘘をつく者もいるだろう。そのため多少手間かもしれないが、「リファレンスチェック」をおすすめする。リファレンスチェックとは、求職者の前職での勤務状況や人柄などを調査することだ。もちろん本人の意思に反して個人情報を暴くような真似は法律で禁止されているが、「退職代行を使用したかどうか」すら確認を恐れる求職者は、その時点で採用する価値はないのである。
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