真中流マネジメント

2017年の展望――がむしゃらに勝ちにいく“粘りの姿勢”で日本一を目指す

2017.02.24 公式 真中流マネジメント 第23回

「勝ちに食らいつく」気概で粘り強く戦う

レギュラー陣の「打撃力」に不安なし
期待される役割をまっとうする“頼れる控え”がチームを支える

過去2回にわたり、「チーム全体」「個々の選手」という切り口で2016年を総括してきました。第23回目となる今回は、ヤクルトの「2017年の展望」についてお話ししたいと思います。

まず2017年の目標は、もちろん“日本一”です。具体的にどれくらい勝って優勝するか、ということで言えば、去年の広島東洋カープのように、貯金を30近く作って優勝できれば理想ですね。「先行逃げ切り」で勝ち続ける、これは誰にとっても望ましいシーズンの進め方ですから。でも、現実はそううまくはいかないでしょう。勝つときもあれば、負けるときもある。だから粘り強く戦っていきますよ。最後まで諦めず「勝ちに食らいつく」気概で試合に臨み、1勝ずつ重ねていけば、おのずと優勝に近づくことができる……そう信じています。

去年、ヤクルトの戦績は64勝78敗。(勝ち数-負け数の)借金は14でした。以前の記事でも触れましたが、もし7試合勝利していれば借金はゼロで勝率が5割、これでAクラス(リーグの上位3チームのこと)です。そこにあと5勝も積めれば、優勝が射程圏内になる。これも繰り返しになりますが、最終的な戦績を分けるのは小さな1勝の積み重ねです。このポイントをどれくらい意識できるか、徹底できるか、それが重要なんですね。

もちろん「意識」だけでは試合には勝てません。相手チームに勝利するためには武器、強みが必要です。ではヤクルトの強みはというと、まず「打撃力」でしょう。レギュラー陣が故障や離脱せず機能すれば、打線に関しては心配いらないと思っています。

また、控え選手が自分の持ち場でいい働きをしてくれることも強みですね。それぞれが自らに期待される役割を理解して動いてくれる点は、監督としても非常にありがたい。これはひとえに三木ヘッドコーチの功績だと思います。控えのメンバーにとって、モチベーションの維持は非常に重要で、かつ難しいことです。いつ試合に起用されるかわからず、それでいて声がかかったらすぐに参戦して結果を出さなければいけない。心身の準備は当然必須ですが、かといって常に緊張していてはいい働きはできない……バランスのとり方がとても難しいんですね。三木ヘッドコーチは彼らのそうした状況をよく理解し、適切なケアをしてくれています。彼自身、現役時代は代走・守備要員として活躍していましたから、控え選手の精神面への理解や、経験から蓄積されたノウハウもあるのでしょう。

そういえば私も、現役の晩年は「代打職人」としてチームに貢献していました。こうして見ると三木さん・私をはじめ、ヤクルトの現首脳陣には「バリバリのレギュラー選手だった」という人はあまり多くないですね。だからチーム全体として、控え選手のケアが上手なのかもしれません。勝ちを目指すうえで主力のレギュラー陣はもちろん重要ですが、彼らだけでチームが成り立っているわけではないですからね。要所要所で欠かせない役割をまっとうする充実した控えメンバーがいてくれてこそ、レギュラー陣も思いきり戦えるんです。

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プロフィール

真中満
真中満

1971年栃木県大田原市出身、宇都宮学園高等学校を経て日本大学卒業後1992年にドラフト3位で東京ヤクルトスワローズに入団。
2001年は打率3割を超えリーグ優勝、日本一に貢献。2008年現役を引退。
2015年東京ヤクルトスワローズ監督就任1年目にして2年連続最下位だったチームをセ・リーグ優勝に導く。
2017年シーズン最終戦をもって監督を退任。

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