cueのププププレゼン力

第19回 2017.01.11

LOVE❤謹賀新年。一年の計は元旦にあり

清く❤正しく❤美しくクリエイションしたい!

そしてもう1つは日玉カレンダーです。当時の僕は、すでに今のようにキャンペーンの企画を考えて形にする、ハードワークな毎日を送っていました。CMや雑誌広告などの大型キャンペーンを中心に、日々クリエイションしていたのです。それはもちろん美しく楽しい仕事で、テンション高く燃えておりました。

そうした仕事にもちろん不満はなかったものの、一方で、「ずーっと部屋に飾っておきたくなるような、愛着が感じられてなおかつ絵になるものをじっくり創ってみたい」とも考えていました。そんなときに「やってくれないか?」とオファーされたのが、日玉カレンダーのクリエイションだったのです。ラッキー★★★

1年を通じて女性の皆さんのお部屋に飾ってもらえるものにしたい。毎日の大切な予定を、楽しく、可愛く書き込めるものにしたい。月々の季節を女性らしくお洒落に感じられるものにしたい。そんな思いを抱きながら、テーマとビジュアルを模索しました。

当たり前ですが、いくらプレゼントされたものでも、気に入っていただけなければお部屋に飾ってはもらえません。女性は、素敵でHAPPYなものでないと、見てもくれないでしょう。まして1年中部屋に飾るものですから、ハードルは非常に高いのです。

丁寧な❤を込めた思いは通じます

さて、まずは材質選びから。素材の紙は、鉛筆でもペンでもきちんと文字が載るものをチョイスしました。“つるつる”ではなく、風合いのあるちょっと“ざらざら”。な質感の紙です。色も、真っ白ではなく、温かみのあるクリームがかったものを選びました。

次に、各月の絵柄です。モチーフは「女性らしいアイテム」。リボン、ハット、ハイヒールにパラソル、それにクリスマスケーキ……日常にある素敵なガールズアイテムをシンボライズし、デザインし、僕がオリジナルで描きました。

さらに、細かいレース編みのようなイメージで、たくさんの花や動物、人物を細いラインの線画で模様にし、紙面を埋め尽くします。ひと針ひと針、まるで布に刺繍するように、丁寧に丁寧に時間をかけて描いていきました。

こうして完成した日玉カレンダーは大変好評で、たくさんの方に愛用していただけました。新年のご挨拶として僕が直接お渡しした方々からも「本当に素敵なカレンダーで、1年中、飾らせてもらいました」と嬉しい言葉を聞けてHAPPY❤LOVEです。

丁寧に思いを込めたクリエイションは、やはり人に伝わるものです。そんな仕事を、2017年もきちんと積み重ねていきたいと思っています。

LOVE❤2017 今年もよろしくクリエイションクリエイション

さて、実はすでに、来年2018年の資生堂カレンダーのクリエイションは決まっています。今回も社内のクリエイターがアイデアを出しあうコンペティション形式で、僕もめちゃくちゃ素敵なアイデアが「エウレカ!」したので参加いたしました。

絶対に女性のテンションが上がるアイデアだったため、一緒に丁寧なクリエイションをしてくれそうなスタッフに声をかけ、説明し、プレゼンのチームに加わってもらうことにしました。しかし、ナイス★でチャーミングで、上司からも好評なアイデアだったものの、僕の企画は採用されませんでした。ガーン、素直に悲しいです……。

それでも、この「アイデアが閃いた=自分のクリエイター魂に火がついた」という体験は非常にラッキー★★★なこと。ですので、このナイスな企画を、2018年にどうにかHAPPYな形でオギャーと世に送り出してやりたいと思っています。社内コンペには受かりませんでしたが、社会に、世界にプレゼンテーションしていきますので、「企画に参加したい!」という方々はぜひご一報ください。

LOVE❤2017。今年もよろしくお願いいたします。

 


本連載が書籍に? 資生堂アートディレクター成田久氏が、銀座一丁目の森岡書店にて「ププププレゼン力」展を開催中! 2017年12月19日(火)~28日(木)まで。詳細はこちら

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プロフィール

成田 久
成田 久

アートディレクター・アーティスト。1970年生まれ。多摩美術大学・東京藝術大学大学院修了し、1999年に資生堂入社。宣伝・デザイン部に所属。アネッサのCMで蛯原友里を起用し、楽曲にBONNIE PINK「A Perfect Sky」を使用したことで一躍話題に。そのほかマシェリやマキアージュ、ベネフィーク、HAKU、インテグレート、unoなど多彩なブランドのアートディレクションを担当。更にTSUBAKIで初めて男性キャストとして福山雅治を起用するなど、資生堂商品のブランディングに大きく貢献する。
社外活動では13年NHK大河ドラマ「八重の桜」のイメージポスターのアートディレクションを担当するほか、多数のアーティストのCDジャケットやMVのアートディレクション等を手掛ける。更に雑誌「装苑」にて演劇レビューを連載するなど活動範囲は留まるところを知らない。

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