cueのププププレゼン力

第7回 2016.07.13

熱きアイデアは古代、昔から。
LOVE♥思いは突然、やってくる

リハーサル リハーサル リハーサル

ピ~~~。脳天を貫くような音が部屋中に響いている。
6月4日、土曜日の午後。女子美術大学キャンパス内の一室。
目の前には、演奏本番前の楽器のコンディションを整えるために篳篥(ひちりき)を奏でる雅楽師の三浦元則(みうらもとのり)さんがいる。奥には、龍笛(りゅうてき)を奏でる纐纈拓也(こうけつたくや)さんが、ヘアメイクアーティストにワイルドなヘアーをセットされている真っ最中である。

半年以上前に女子美術大学の校友会からあったオファー。僕が古着物から制作したオリジナルコスチュームをまとった雅楽氏二人による演奏パフォーマンスが、今日これから披露される。

人生 縫ってきたぜ 人生 奏でていくぜ

このオファーを頂いたのは、昨年9月に現代アートギャラリー「ギャラリー現」での展覧会『人生 縫ってきたぜ 人生 奏でていくぜ』を、交友会の方々が見にきてくれたことがきっかけでした。
この展覧会で僕が創作しお披露目したのは、「龍笛」の纐纈拓也、「笙(しょう)」の三浦はな、篳篥の三浦元則の三人が雅楽を奏でる「間(ま)」。
蛍光ピンク、ライトグリーン、レモンイエロー、ホワイトの4色の布を細かに縫い合わせたパッチワークで壁一面を覆い、スペイシーな空間を演出。
それを背に、いつも演奏時に着ている装束とは全く異なる現代モダンなピンク×パープル、レモンイエロー×ブラック、ライトグリーン×シルバーの表裏2色のコントラストのある僕のコスチュームを着た彼らが、雅楽を奏でる――というパフォーマンスをLIVE公開しました。もちろんヘアメイクもばっちり今っぽくキメテ★

コツコツ創り続けて、世界へと

もともと僕は、資生堂のアートディレクターの仕事へと進む前、多摩美術大学染織科にいたため、学生時代から人に着せる、人に装わせるコスチュームアートの作品を創ってきました。その延長線上に、資生堂のモデル達に素敵なものをコンセプチュアルに着せてみたい♥という思いがあり、今のクリエイト仕事につながっているのです。大好きでしています。
なので、一人のアーティストとして今もコスチュームアート制作は続けていますし表現も突き詰めています。

現在の表現STYLEとなったきっかけは、大学院時代に舞台衣装に関わったことが大きいです。今では国際的なバレエコンクールでグランプリ★を受賞した菅井円加(すがいまどか)さんほか、世界的に活躍しているコンテンポラリーダンサーのコスチュームも制作しています。そういった方々の踊り、パフォーマンスを目の当たりにするのは、鳥肌感動体験です。
鍛えぬかれた人間の身体は本当に素晴らしい! 国宝級に美しいです!

またキッズバレエの発表会のコスチュームもクリエイトしています。
キッズでしか表現できないポップで可愛いコスプレ? ハロウィン? のようなコスチュームを、演目に合わせてクリエイトし、それを着て舞台で踊っていただいています。
今年もこの8月に発表会が開催されます。ただいま絶賛制作中です。どんなことになるのか非常に楽しみです。

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プロフィール

成田 久
成田 久

アートディレクター・アーティスト。1970年生まれ。多摩美術大学・東京藝術大学大学院修了し、1999年に資生堂入社。宣伝・デザイン部に所属。アネッサのCMで蛯原友里を起用し、楽曲にBONNIE PINK「A Perfect Sky」を使用したことで一躍話題に。そのほかマシェリやマキアージュ、ベネフィーク、HAKU、インテグレート、unoなど多彩なブランドのアートディレクションを担当。更にTSUBAKIで初めて男性キャストとして福山雅治を起用するなど、資生堂商品のブランディングに大きく貢献する。
社外活動では13年NHK大河ドラマ「八重の桜」のイメージポスターのアートディレクションを担当するほか、多数のアーティストのCDジャケットやMVのアートディレクション等を手掛ける。更に雑誌「装苑」にて演劇レビューを連載するなど活動範囲は留まるところを知らない。

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