人事の超プロが教える、リストラ時代を生き抜く戦略

人事の超プロが警鐘! かつてない大リストラ時代に備え今何をすべきか

最低賃金が上がれば、生産性の低い人は淘汰される

最低賃金が上がれば、生産性の低い会社から淘汰されていきます。会社の中でも、生産性が低い人から淘汰されています。会社単位でも、個人単位でも、「生産性の向上」がより重要なポイントになっていくのです。

生産性とは、「アウトプットの価値を低いコストで出せること」。今まで出していた価値を100とするなら、120以上が求められます。

最低賃金が上がらなかったとしても、円は110円から137円に上がっています。あなたは今までの1.2倍以上に生産性を高めることができていますか?

すでに円が安くなっていますから、1.2倍の価値を出してもトントンです。1.0では、アウトプットの価値は下がっています。

管理職研修をすると、部下が「現状維持でいいです」「成長は望んでいません」と話しているという悩みをよく伺います。あるいは、40〜50代の管理職自身が現状維持を望んでいたりもします。これは本当に危険です。

現在は円安の上に物価が上がり、原材料が高騰しています。円安が1.2倍で、原材料も1.2倍に上がったら、アウトプットを1.5倍ぐらいにしないとトントンになりません。1.0のままでは、大幅な後退です。

年収1000万円なら、1500万以上の価値を出すことが求められます。年収1000万の人が1000万の価値しか出していなければ、リストラの対象になります。

財テクだけでは生き残れない。自分自身に投資しよう

現状維持は、死を意味します。円安・物価高騰によって世の中は激変しているのです。部下が現状維持を望んでいたら、それを伝えてあげなくてはいけません。自身が望んでいるのなら、意識を変えなくてはいけません。

若い世代の間では、仕事での価値発揮や生産性向上を目指すより「各自で財テクして乗り切っていこう」という考えが増えているようです。

賢い投資で現状を乗り越えていけるのならいいですが、投資で他人を働かせるのではなく、自分自身に投資して自らの価値を高めていかなければ、これからの時代を生き残っていくのは難しいのではないでしょうか。

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今後は、より生産性が問われていきます。国も企業もそれを求めています。今までと同じ働き方では、マイナスの評価しか得られません。

「同じコストで、これまでの1.5倍のアウトプットを出す」
「同じ時間で、これまでの1.5倍のアウトプットを出す」

このような想定をしておかないと、今の会社で生き残れなくなるだけでなく、どこの世界に行っても、どんな会社に転職しても通用しなくなります。

あなたは、どのようにして生産性を高めて価値を発揮しますか?
あなたの会社が倒れたときに、どのような価値を提供できますか?

手遅れにならないよう、ぜひ考えてみてください。

次回につづく

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プロフィール

西尾 太
西尾 太

人事コンサルタント。フォー・ノーツ株式会社代表取締役社長。「人事の学校」主宰。
1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。
これまで1万人超の採用面接、昇降格面接、管理職研修、階層別研修、また多数の企業の評価会議、目標設定会議に同席しアドバイスを行う。
汎用的でかつ普遍的な成果を生み出す欠かせない行動としてのコンピテンシーモデル「B-CAV45」と、パーソナリティからコンピテンシーの発揮を予見する「B-CAV test」を開発し、人事制度に活用されるキャリアステップに必要な要素を体系的に展開できる体制を確立。これまで多くの企業で展開されている。また2009年から続く「人事の学校」では、のべ5000人以上の人事担当者育成を行っている。
著書に『人事担当者が知っておきたい、10の基礎的知識。8つの心構え』(労務行政)、『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)、『プロの人事力』(労務行政)、『人事の超プロが本音で明かすアフターコロナの年収基準』(アルファポリス)、『超ジョブ型人事革命 自分のジョブディスクリプションを自分で書けない社員はいらない』(日経BP)などがある。

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