小川流2018燕改革!

「目の前の一勝」と「長期的展望」と、
両者のバランスをとれるチームこそ強い

2018.07.27 公式 小川流2018燕改革! 第9回

将来のことを考えたからこそ、
あえて、原樹理を中継ぎにした

――改めて、後半戦の戦いについて具体的な展望を教えてください。

小川 攻撃に関してはこれまでと変わらずに、決してあきらめずに執念を持って1点でも多く奪っていく野球を目指します。執念を持って取り組む姿勢は、前半戦の試合でもかなり浸透しているので、これは変わらずに続けていきます。問題は投手陣ですよね。やっぱり、夏というのはピッチャーがどんどんへばってくる時期ですから。先発陣ももっと頭数がほしいけど、当面の課題はリリーフ陣です。すでに登板過多の傾向にあるので、どのように休ませていくかが大切になります。

――一時期は原樹理投手を中継ぎに回して、ロングリリーフを任せていましたね。

小川 そうですね。彼は中継ぎでいいピッチングを披露してくれました。当然、「中継ぎ陣を休ませたい」という思いを持っている僕としては、とても助かりました。でも、ここでも「目の前の一勝」と「長期的展望」の話になってしまうんですけど、彼の場合は、将来的に考えれば、絶対に先発投手として育ってほしい投手のひとりなんです。だから、「いつまでも中継ぎで起用するのもどうなのかな」という思いも正直あります。

――確かに後半戦から、原樹理投手は再び先発ローテーションの一角を占めるようになっていますね。

小川 今季も開幕以来、なかなか勝てなくてもずっと先発を任せていたのは彼の将来のことを考えてのことです。でも、なかなか結果が出なかったから、気分転換も兼ねて配置転換をしました。中継ぎ登板でようやく白星を挙げたことも大きかったと思いますね。この経験を糧にして、彼には先発投手として自信をつけてほしいと考えています。

――配置転換によって、新たな気づきや学びがあれば理想的ですね。

小川 原の場合は、先発をしてすごくいいピッチングで、いいボールを投げているのに、ピンチを迎えた「ここぞ」という場面で簡単に打たれて負け投手になることが続いていました。毎回打たれているわけではないのに、大切な場面での失点が多かったからこそ、中継ぎで短いイニングを全力で投げることで、何かをつかんでほしいと思っていました。再び、先発に戻って、彼がどんなピッチングを見せてくれるのか。本当に楽しみにしています。

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プロフィール

小川淳司
小川淳司

千葉県習志野市出身。習志野高校卒業後、中央大学に入学。1981年ドラフト4位でヤクルトに入団。1992年現役を引退すると、球団スカウトやコーチなどを経て、2010年シーズン途中に監督に就任。2014年シーズンまでチームを率いる。退任後は、2017年シーズンまでシニアディレクターを務め、2018年から再び監督となる。

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