小川流2018燕改革!

「目の前の一勝」と「長期的展望」と、
両者のバランスをとれるチームこそ強い

2018.07.27 公式 小川流2018燕改革! 第9回

「目の前の一勝」にこだわることで、
結果的に「将来の希望」となるように

――現状では、その原樹理投手に代わって、ドラフト2位ルーキーの大下佑馬投手が中継ぎで成果を上げていますね。7月20日の阪神タイガース戦では、中継ぎで好投して、待望のプロ初勝利もマークしました。

小川 そうですね。でも、彼の場合は将来の先発投手として獲得しているわけです。先日の巨人戦(7月11日)でも先発登板させましたけど、またまだ課題は多い。だからこそ、今は中継ぎでいろいろな経験を積んで、今後に役立ててほしいと思っています。

――「長期的視野」という観点から考えると、ファームの選手の育成方針もとても大切になってきます。

小川 もちろん、チーム全体の方針というものはあります。たとえば、今年のドラフト1位ルーキー・村上(宗隆)はすでに一軍でプレーできるレベルに達していると思います。彼の場合、高卒新人にしては身体もできているし、一年間ずっと一軍に上げてみても面白い存在だと思います。でも、僕の考えでは今年はファームでじっくりと鍛えてから、来年以降に一軍に上げてみても全然遅くないと考えています。その上で、来年あたりファーストかサードで起用したいですね。ただ、村上についてはシーズン終盤に一軍に上げてみたいとは思っていますけどね。

――二軍の高津臣吾監督との緊密な連携も重要になってきますね。

小川 もちろんです。高津とは積極的にコミュニケーションを図るようにしています。先ほど名前を挙げた村上はもちろん、個人的には3年目の高橋奎二に期待しています。でも、これも繰り返しとなるけれど、「目の前の一勝」か、「長期的展望」かで考えた場合、高橋奎二についてはじっくりと育てたいという考えの方が強いです。でも、もうそろそろ一軍に上げてみても面白い存在だとは思っていますけどね(笑)。

――8月も目前に迫り、ペナントレースも佳境に入ってきます。改めて、夏場の戦いについて、監督からひと言、お願いします。

小川 夏場だからと言って、これまでと戦い方を変えるということはしません。この連載でも何度も言っているように、「最後まであきらめない」という姿勢を忘れずに、執念を持って試合に臨みます。攻撃で言えば、「次の1点」を貪欲に取りに行く。守備で言えば、「次の1点」を絶対に与えない。この姿勢を貫きます。その結果、勝つこともあれば、負けることもあると思います。でも、執念を失わなければ、それは将来にも必ず生きてくる。選手たちのそんな姿を、ぜひ見守って応援していただけると嬉しいです。

――「目の前の一勝」にこだわることで、結果的に「長期的展望」にもつながる。そんな戦い方を忘れないということでしょうか?

小川 そうです。目の前の一勝には絶対にこだわります。でも、その一方では将来のことを考えながら選手起用をしていますし、休養のことも意識しながら、一軍と二軍の入れ替えも行うつもりです。ペナントレースが続く以上、「優勝」という目的は絶対に忘れずに戦っていきます。

 

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プロフィール

小川淳司
小川淳司

千葉県習志野市出身。習志野高校卒業後、中央大学に入学。1981年ドラフト4位でヤクルトに入団。1992年現役を引退すると、球団スカウトやコーチなどを経て、2010年シーズン途中に監督に就任。2014年シーズンまでチームを率いる。退任後は、2017年シーズンまでシニアディレクターを務め、2018年から再び監督となる。

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