小川流2018燕改革!

大充実の秋季キャンプは、
「考えること」「感じること」を重視

2018.11.23 公式 小川流2018燕改革! 第17回

「変化」を恐れることなく、
「変わる勇気」を待ち続ける

――考えること、感じることの重要性を詳しく教えてください。

小川 チーム力を上げる上で、個々の技術力アップは欠かせません。でも、それはすぐに身につくものではない。そして、「選手補強」というわかりやすい戦力アップではなく、我々にできることと言えば、「変わる勇気」を持つこと。変化を恐れないことだと思うんです。さらなるプラスアルファを求めるためには変わること。変わるためには考えること、感じることだと考えました。

――野村克也元監督も「固定観念は悪だ」とか、「変化を恐れるな」と、常々話していましたね。

小川 野村監督は、頭を使うことを「無形の力」と言っていました。先ほども言ったように、技術はすぐに飛躍的に向上するわけではないので、頭を使うわけです。なかなか結果が出ていない選手ならば、「新しいことに挑戦しよう」と思うことは簡単です。でも、すでに成績を残している選手にとっては、やっぱり「変化」とは怖いものだと思います。勇気がいることだと思います。でも、それを怖がっていてはいけないのではと、僕は思います。

――ここでいう「変化」とは、あくまでも考え方、感じ方についてですよね?

小川 そうです。たとえば、大きくピッチングフォームを変えようとか、右打ちを左打ちに変えようという意味ではありません。大切なのは考え方です。その点を意識して、今回の秋季キャンプに取り組み、その成果は少しずつ出ているのではないかと思います。

――監督自身の「変わる勇気」を教えていただけますか?

小川 僕が強く意識しているのは、「選手との距離感」ですね。新人選手や移籍選手はともかく、どうしても何年も一緒にいる選手たちについては、「すでにわかっている」という目で見てしまいます。でも、選手たちだって常に変化しているわけですから、僕自身も選手への見方、評価を変えなきゃいけない。同時に、もう少し大人扱いする必要もあるのかなと思っています。

――それは、「選手たちが成長した」ということですか?

小川 「成長した」というよりも、「信じてあげよう」「リスペクトしよう」という意味の方が近いですね。僕らは常に選手たちと一緒にいるから、どうしても失敗した場面、ミスした場面の記憶がずっと残っているんです。だから、「あれがダメだ、これができない」と、ついついなりがちなんです。でも、選手たちだって、間違いなくレベルは上がっています。そうした部分にきちんと目を向けて、評価することが大切だと思うんです。そういう意味で、「大人扱いしよう」と考えました。

 

ご感想はこちら

プロフィール

小川淳司
小川淳司

千葉県習志野市出身。習志野高校卒業後、中央大学に入学。1981年ドラフト4位でヤクルトに入団。1992年現役を引退すると、球団スカウトやコーチなどを経て、2010年シーズン途中に監督に就任。2014年シーズンまでチームを率いる。退任後は、2017年シーズンまでシニアディレクターを務め、2018年から再び監督となる。

出版をご希望の方へ

公式連載