小川ヤクルト 躍進へのマネジメント

成功した開幕ダッシュ!
好スタートを切った指揮官の策略

ライアン小川、石川雅規、原樹理、
先発投手陣を分析、講評する

――では、各投手についてお聞きします。開幕投手を託した小川投手は、好投するもののなかなか勝ち星がつかない状況が続いています。

小川 そうですね。先ほどお話ししたように、「先発投手に白星がついてほしい」という考えを持っているので、「早く小川に白星を」という思いもありますけど、彼の場合は年間を通じてローテーションの軸になるピッチャーなので、あまり心配はしていないです。開幕戦も好投し、自責点0で1失点でした。この辺りは打線とのめぐりあわせなので、仕方がないですが、トータルで見ればきちんと成績を残すと思います。

――開幕2戦目を託した石川投手も、なかなか好投が報われない試合が続いています。

小川 石川の場合も、ある程度しっかりとゲームを作ってくれるので助かりますね。ただ、やはり若い頃と比べると投球内容は変わってきています。具体的に言えば、相手打線の3巡目くらいになると、甘いボールが増えてきています。(3月30日の)阪神戦は5回1失点でしたけど、(4月6日の)中日戦は7回途中2失点でした。この場面については「6回でキッパリと交代すべきだったのでは?」という反省がありますね。

――昨シーズン後半、目覚ましい活躍を見せた原樹理投手についてはどう見ていますか?

小川 原樹理はこれからエース格として、チームの中心になっていかなきゃいけない投手です。そういう意味も込めて、(4月16日)松山での阪神戦では134球で完投してもらいました。あの日は火曜日の試合ということもあって、6連戦の始まりでもあるので、リリーフ陣を休ませる意味でも、最後まで投げ切ってもらいたかったし、その期待にきちんと応えてくれたピッチングでした。開幕前には「原には長いイニングを投げてほしい」と考えていたので、シーズンの早いうちに完投してくれたのはとてもよかったです。

――昨シーズン後半から、原投手は見違えるようなピッチングを披露しています。その理由はどこにあるとお考えですか?

小川 彼って、意外とカリカリするタイプなんです。ピンチを迎えるとガンガン行きすぎるというか、自信のあるシュート一辺倒になりがちだったんです。そのために、それまで好投していたのに、ある1イニングだけ複数点の失点を許してしまうことが多かった。要は打たれるのもシュート、抑えるのもシュートだったんです。でも、最近はそういうことがなくなってきました。少しずつピッチングというものを理解し始めている気がします。打者との駆け引きができるようになりましたね。

――昨年後半には井野卓捕手とバッテリーを組む機会が多かったですが、これはどのような意図があったのですか?

小川 結局、(正捕手の)中村(悠平)も、「困ったらシュート」という部分があって、配球に偏りがあったんです。控えだった井野はベンチで見ていて、いろいろ考えていたのでしょう。原樹理のいいところを生かした配球をして、原にも、中村にもいい気づきを与えてくれたと思います。必ずしも、シュートだけではないんだということを理解したことで、偏りなく、いろいろな球種で抑えることができるようになって、成績を出し始めたのだと思います。

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プロフィール

小川淳司
小川淳司

千葉県習志野市出身。習志野高校卒業後、中央大学に入学。1981年ドラフト4位でヤクルトに入団。1992年現役を引退すると、球団スカウトやコーチなどを経て、2010年シーズン途中に監督に就任。2014年シーズンまでチームを率いる。退任後は、2017年シーズンまでシニアディレクターを務め、2018年から再び監督となる。

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