――先日(16日)の巨人戦中継の際に、解説者が「ベンチのムードが暗い」「覇気がない」というニュアンスのことを話していました。96敗という屈辱を経て、「今年こそ!」の思いで迎えた昨年の雰囲気と、2位で臨んだ今年のムードに変化はあるのでしょうか?
小川 放送席からどう見えていたのかはわからないですけど、去年と比べて、「今年はベンチ内が静かだ」ということは決してないと思います。ビハインドの状況で、淡々と9回裏を終えることもないです。ただ、昨年は終盤での逆転劇がとても多かったので、ベンチ内にも「まだまだ逆転できるぞ」というムードが自然に生まれていたのは事実です。今年もその思いは選手たちに浸透していると思っています。
――昨年同様、「今年も最後まで執念を持ち続けている」ということは、自信を持って断言できますか?
小川 「自信」ということで言えば、今年はこんな成績なので、堂々と「自信があります」とは言えないかもしれないです……。昨年と比べれば、終盤での逆転劇は少なくなっていますが、選手たちが意気消沈しているわけではないし、「まだまだだ!」「さぁ、追いつくぞ」というムードは決して失わないように、監督としても、コーチ陣たちも意識しています。
――もうすぐ7月が終わり、8月がやってきます。8月6日からは9連戦も控えています。どのような展望で「勝負の夏」を戦っていくお考えでしょうか?
小川 今季は開幕以来ずっと「先発投手の踏ん張り」に期待してきました。故障で離脱している原樹理やスアレスの復帰時期はまだ確定していませんが、小川泰弘、ブキャナン、石川雅規、高橋奎二ら、現有戦力の復調を待ちながら、辛抱強く戦っていくつもりです。中継ぎ投手の数を減らすことはできないので、9連戦では先発投手の登録、抹消を繰り返すことになると思います。厳しい日々が続くのは覚悟しています。でも、「苦しいから勝てない」とはまったく思っていません。辛抱強く、粘り強く、執念を持って戦う。その姿勢を忘れずに8月を迎えるつもりです。決して、まだあきらめていませんから。
本連載インタビュアーの長谷川晶一氏最新ヤクルト本『再起――東京ヤクルトスワローズ~傘の花咲く、新たな夜明け~』(インプレス)好評発売中!