ビジネス駆け込み寺

女性ばかりの職場で、1人の女性の言動に悩んでいます

2015.12.21 公式 ビジネス駆け込み寺 第6回

女性ばかりの職場で、1人の女性の言動に悩んでいます

私は課長以下全員女性の部署で働いているのですが、私だけではなく、課内のほぼ全員の女性が強く感じているほど、上司が目に見えて1人の女性にえこひいきをしていると感じています。

男性とのコミュニケーションに長けた女性がいるのもわかりますが、課長だけでなく、その上の部長にも、彼女は上手なやり方をして、自分はリーダー的な役職でもないにも関わらず、私をはじめとした自分以外の同僚に命令してきたり、面倒な仕事は上司にうまく言って、私たちに押し付けてくることも多いです。

これは私1人が感じていることではなく、課内の全員の共通認識です。

「自分は自分のすべきことをやればいい」と言い聞かせながら、私はなるべく気にしないように、なるべく関わらないようにしていますが、このままでは発展性が見えず、正直私としては辛いです。

仕事は好きなので辞めたくはないのですが、だからこそ余計に悩んでしまいます。

今後私は、どういう気持ちやどういうスタンスで仕事を続けていけばいいでしょうか。

外資系ソフトウェアメーカー勤務(総合職) / 29歳 / 女性

その状況は間もなく崩れるはずです

職場にはさまざまな環境や状況がありますが、その中でもかなりややこしく、ストレスを感じてしまう環境でお仕事をされているようですね。
お悩みを読んで、私があなたと同じ状況にいたらと想像してみましたが、なんだか呆れるようで、気持ちのよくない複雑な思いですよね。

好きな仕事をしているのに、「辞める・辞めない」というようなことを考えなければならないような今の環境は、本当にストレスフルだと思います。しかし、あなたは「辞める」という選択をする必要はありませんよ。むしろ、「辞める」という選択をせざるを得なくなるのは、その女性かもしれません。その理由をお話させて下さい。

今の状況を整理すると、次のようになると思います。
1) 1人の女性だけが男性上司から特別な扱いをされている。
2) その女性は男性上司を上手に操っている。
3) その女性はその力で職場を自分の思い通りにしようとしている。
4) あなたを含め、課内の女性全員がこれらのことに気付き、嫌な思いをしている。

私が思うに、この状況はもう間もなくすれば、すべて崩れてしまうでしょう。あなたを含め、課内の女性全員がこの状況に不満を持っているのであれば、その意識や雰囲気というものがしだいに大きくなり、否応なしに部長、課長にも伝わります。もし、その方々が責任感の強い資質を持っていらっしゃれば、管理職にいる以上、そのような状況を放っておくことはできないはずです。すると、上司たちはその女性とのコミュニケーションを避けるようになるでしょう。そして結果的には、彼女は課内の職員ともコミュニケーションがとれず、行き場所を失ってしまうことになると思います。これは時間の問題だと思います。ですから、あなたは今のバランスを崩すことなく、「自分は自分のすべきことをすればいい」という大きな心で構えて、仕事に取り組まれてよいと思いますよ。

負の連鎖を生まないようにしてください

しかし、あなたにお願いがあります。もし彼女がそのような状況に追い込こまれたとき、どうか彼女を受け止めてあげて欲しいのです。これまで彼女があなたを含め課内の人たちにしてきたことは、きっと簡単には許すことができないこともあると思います。でも、だからといって仕返しの意味で、彼女が不幸になればよいというわけではありません。

お釈迦さまの言葉に「実にこの世においては、怨(うら)みに報いるに怨みを以(もっ)てしたならば、ついに怨みの息(いき)むことがない。怨みをすててこそ息む。これは永遠の真理である」(『ブッダの真理のことば・感興のことば』(中村元訳・岩波文庫))というものがあります。
これは、「この世において、恨(うら)みは恨みによって静まるものではなく、恨みを忘れることによってのみ静まる」という教えがあります。仕返しの思いが含まれた行動は、また仕返しの思いの含まれた行動を跳ね返し、負の連鎖が続くだけです。もし、彼女が行き場所を失ってしまったときは、どうか彼女に声を掛けてあげて下さい。その時、彼女は深く反省されることでしょうし、いつかあなたの苦しいときに手助けしてくれる方になってくれるかもしれません。

よくないことをすれば、よくないことが戻ってきます。これは因果の道理であり、永遠の真理です。しかし、結果的によくないことが戻ってきて、悲しむ方に優しい言葉をかけてあげることができれば、私はあなたが人としていちだんと素敵に成長された証拠だと思います。職場での仕事の発展性に直に結び付くかは分かりませんが、人としての成長の発展性がここにあると思います。

ぜひ人間味のある、働く女性になられることを願っております。

協力:寺子屋ブッダ

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プロフィール

大來尚順
大來尚順

浄土真宗本願寺派 大見山 超勝寺 住職
著述家/翻訳家

1982年、山口市(徳地)生まれ。龍谷大学卒業後に渡米。米国仏教大学院に進学し修士課程を修了。その後、同国ハーバード大学神学部研究員を経て帰国。僧侶として以外にも通訳や仏教関係の書物の翻訳なども手掛け、執筆・講演・メディアなどの活動の場を幅広く持つ。2019年、龍谷大学 龍谷奨励賞を受賞。著書に『あなたは、あなた。』(アルファポリス)『超カンタン英語で仏教がよくわかる』(扶桑社) 『小さな幸せの見つけ方』(アルファポリス)など多数。

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