頑張らないでやる気を出すコツ

「頑張ります」はやる気を削ぐ言葉

2018.03.12 公式 頑張らないでやる気を出すコツ 第1回
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「頑張ります」としか言えなくなった時は……

では、何かミッション(使命)が与えられた時に、「頑張ります」としか言えない状態になってしまった場合、どうすればよいのでしょうか? まずは、普段から「自分がやる気になる言葉」を探しておき、その言葉を自分自身にかけるのです。それには、自分が人から言われてうれしかったり、元気になれたりする言葉を事前に把握しておくことが必要です。内容は、仕事のことでもプライベートなことでも構いません。

例えば、「頑張っていて偉いね」「気が利くね」など。何を言われたらうれしいかは人それぞれです。こういう言葉は、自分にやる気があって精神的に充実している時に探した方が見つけやすいので、普段から意識してみて下さい。そしてやる気が出ない時にはその言葉を声に出して、自分に向かって言うのです。

極論を言えば、「頑張ります」という言葉は、決して頑張れるようにはなりません。具体性を欠いた「とりあえず」の言葉をただ口にしているだけで、逆に自分のやる気を削いでしまうのです。

また、行動と感情は連動しています。例えば、精神的に落ち込んでいても、無理やりにでも笑顔を作れば元気になれることもあります。あえてプラスの行動を取れば、プラスの感情が湧いてくることもあります。これも「自分がやる気になる言葉」と同じで、「自分にとってのプラスの行動は何か」を意識的に把握しておくことが大切です。そうすれば、「頑張ります」という具体性のない言葉を口にする回数は徐々に減っていき、少しずつではありますが、自分のやる気をコントロールできるようになってきます。

ただし、焦る必要はありません。誰でも落ち込むことはありますし、やる気が出ない時だってあるものです。人間、いきなり変わることはできません。“やる気を出すコツ”は、日々のこうした意識の積み重ねによって、自分の中に蓄積していくものなのです。だからこそ、日頃から自分を客観的に見る目をもって、やる気が出る「言葉」と「行動」を探してみて下さい。それが見つかれば、やる気を取り戻す大きな一歩になります。

そのためには、自分で自分を認めてあげることも大切です。まじめな人ほど、「こうあるべき」という意識が強く、理想が高い人ほど、失敗した時には落ち込む傾向にあります。強すぎるこだわりは捨てて、自分の理想を少しだけ下げてみましょう。失敗はチャレンジした証です。失敗したことで、その裏にある「チャレンジした」という事実を前向きに考えることも、実はとても重要なのです。なぜなら、その失敗は、成功までの通過点であり、トライ(試みること)だからです。行動しなければ失敗は起こりませんから。

私は昔、こんな経験をしたことがあります。ビジネスの現場で、つい後回しにしていた頼まれごとを、依頼主から催促されたのです。その時に思わず「頑張ります」と言ったら、「頑張らなくていいから、やることをやれ!」と言われました。「頑張ります」は自分にとってマイナスな言葉であると同時に、ビジネスの現場では全く説得力のない言葉です。大事なのは「何をどうすべきか」であって、「頑張ること」自体は当たり前なので、「頑張ります」では、答えになっていません。やる気の出ない時ほど「自分のやる気を削ぐ言葉」を使わず、少しずつでもいいので前進することが大切なのです。

次回に続く

 

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プロフィール

沖本るり子
沖本るり子

株式会社CHEERFUL代表。感情とコミュニケーションの上手な活用によって、人と組織を育成する専門家。数多くの企業研修を請け負う傍ら、合計7冊のビジネス書の出版実績も持つ。現在は主に人財育成をテーマとし、中小企業の組織活性化のサポートを行なっている。

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