頑張らないでやる気を出すコツ

他人の言うことに、いちいち「反応しない」

2018.05.14 公式 頑張らないでやる気を出すコツ 第5回
Getty Images

職場以外に自分の居場所を作る

では、職場では周囲の人とどのように接すればよいのでしょうか? 「反応しない」と言っても、もちろん受け答えをする必要はあります。ただ、何か意見を求められた場合も、よりよい答えを示して、自分自身の評価を上げようなどと気負わないことが大切です。あくまでも自然体で周囲の人と接することが、「反応しない」ということに繋がります。

さらに、いちいち「反応しない」自分になるために実践すべきことがあります。それは、「職場ではない場所に自分の居場所をつくる」ことです。職場の外に気の合う友人などをつくることで、職場での人間関係へのこだわりをなくすのです。仕事とプライベートをはっきりと分けることで、職場で余計な「反応」をしないように意識しましょう。「自分の居場所はここではない。別にあるんだ」くらいに思っても構いません。そして、その「自分の居場所」で充実した時間を過ごすことによって、頑張らないで“やる気”を出すきっかけは生まれるのです。

職場ではない「自分の居場所」は、どんなところでも構いません。自分の好きなスポーツのサークルでも構いませんし、興味のあるテーマについての勉強会でもいいでしょう。または趣味に没頭する時間をつくるのも、“やる気”がでないときにはおすすめです。さらに、「自分の居場所」を複数持つことも、自分の“やる気”に繋がる行動になります。そうやっていきながら、もしその場所の居心地が悪ければ、新しい居場所を見つければいいのです。まずは積極的に「自分の居場所」を職場ではない場所に探していきましょう。

私は会社員のときに、広島から急遽東京の本社へ転勤になったことがありました。しかし、当時は女性社員の本社への移動は異例だったので、新しい職場で、私は周囲の妬みやひがみの対象になってしまいました。周囲の人が私の移動を「栄転」ととらえ、強く「反応」していました。今思えば、その人たちにも、職場ではない「自分の居場所」がなかったのかもしれません。

いずれにせよ、知り合いもおらず、最初から私に対してそのような感情を持っている人達に囲まれて、なかなか職場に解け込めなかったときに思ったのです。

「ここへは自分で選んで来たわけではないから、気の合う人ばかりではないのは当たり前。職場だから無理に全員と仲よくなる必要はないし、人が自分のことをどう思っているのかなんて最初から気にしなければいいのだ」と。

それまでの職場では、自分が周りの人に反応し過ぎてしまい衝突するようなことが多々ありました。しかし、私の場合は転勤をきっかけに、いちいち他人の言うことに「反応しない」ことを自分で決めた途端、精神的にとても気楽になりました。

それと同時に、新しい人間関係を求めて、積極的に職場ではないコミュニティに参加するようにしたのです。そこで本当に気の合う仲間ができると、自然と職場の周囲の人とのほどよい距離感を保てるようになりました。人間関係での摩擦に疲れることがなくなった分、仕事そのものがはかどるようになり、結果的に、仕事もプライベートも充実させることができたのです。

もし、職場で自分が周囲の人に反応し過ぎていると思ったら、まずは職場ではない場所に目を向けてみましょう。積極的に「自分の居場所」をつくり、プライベートを共有できる仲間との繋がりを持つと、職場での人とのかかわり合いが些細なことに思えてきます。すると、職場で「反応しない」自分になる勇気を持つことができます。そしてそれが、頑張らないで“やる気”を出することに繋がるのです。

一見ドライな考え方に思えるかもしれませんが、実はこうした考え方で日々の生活を送ることが、自身の穏やかな精神状態を保つことに繋がります。「今いる場所に解け込めない」と感じている方は、ぜひ意識的に実践してみましょう。

次回に続く

 

ご感想はこちら

プロフィール

沖本るり子
沖本るり子

株式会社CHEERFUL代表。感情とコミュニケーションの上手な活用によって、人と組織を育成する専門家。数多くの企業研修を請け負う傍ら、合計7冊のビジネス書の出版実績も持つ。現在は主に人財育成をテーマとし、中小企業の組織活性化のサポートを行なっている。

出版をご希望の方へ

公式連載