「自分らしさを見つけたい」と思いながらも、どうやったら見つかるのだろう、その方法を知りたい、と思うあなた。他者からの評価や外部からの基準に合わせているばかりでは、本来の自分を見出すことはできないまま。
まずは、日常を圧迫している時間やコト・モノなどを整理し、引き算することで自分を見つめ直すスペースを空けてみましょう。
そして、好きなことやリラックスできること、夢中になれることなど「本当の自分の心の声」をキャッチし、失敗しても良いからとりあえず行動してみることを始めてみましょう。
さらに、自分らしさを見つける妨げになっていると感じる人間関係を見直してみましょう。
あなたの意見や感情を否定し、「みんなも頑張っているのだから、あなたも頑張れ」と同調を強いてくる人はいませんか? 「そのくらい、まだ大丈夫」とあなたの心の状態を勝手に査定して我慢させられることはありませんか?
相手の機嫌や価値観を察知し、相手に合わせることを要求される人間関係の中にいると、自分の本音を見失ってしまいます。
また、あなたが大切にしたい価値観を否定する人はいませんか? 「そんなことして、何になるの?」「そんなつまらないことしてないで、もっと他にやるべきことがあるんじゃないの?」と、自分の価値観が正しくて、あなたの感覚や価値観は間違っていると決めつけてくる人も要注意です。
あなたが疲れているかどうかは、相手が決めることではありません。相手の価値観と自分の価値観は違って当たり前。心がすり減る相手とは、物理的・心理的に距離をとりましょう。
そして何より、「本当の自分の心の声」を優先することです。
周りの人に何と言われようと、どう思われようと、動じない。
「自分がどう感じているか」「何がしたくて、何がしたくないか」に意識を向けるのです。
自分のスペースを作り、他者からの評価に振り回されず、自分の心の声に耳を澄ます。そして、失敗してもいいから、行動してみる。よしよし、いい感じ。この調子で、本当の自分が見つかるといいな、と思った矢先。
あなたの心の中で、ブレーキをかける言葉が浮かぶことがあります。
幼い頃から周囲の環境に刷り込まれた価値観や人生観のことを、心理学で「スキーマ」といいます。
「スキーマ」は、生まれてから今まで生きてきた過程で心の奥深くに刷り込まれた「自分とはこういうもの」「この世の中はこういうもの」という概念や価値体系のことを指します。この「スキーマ」が作動すると、心の声が内側から浮かび、あなたを批判したり、命令したり、制止したりすることがあるのです。
せっかく本当の自分を見つけるために、タスクに追われた多忙な日常生活の諸々を整理し、自分らしさを見つける妨げになっていると感じる人間関係を見直し、他人の評価を気にせず自分のやりたいことに目を向けようとしているときに、いざ、行動に移そうとすると、心でブレーキをかける声が聞こえてくるのです。
たとえば、「自分勝手な人間と思われるのではないか」「ラクしてばかりでは、後でツケが回って結局大変な目にあうことになるぞ」など自分を批判する声があなたの内側から耳打ちをし、今までの生活に引き戻そうとするのです。
このような人は、「人生とは苦しみながら成長するものだ」「ラクをしてはいけない」「楽しんではいけない」という人生観、つまり「スキーマ」をもっているのです。
「スキーマ」はその人の心の奥深くにしみ込んでいるので、当人はその言葉が真実であるかのように感じてしまいます。そして、「スキーマ」と異なる生き方をしようとすると、罪悪感や否定的な感情が浮かぶことがあるのです。たとえ、それが、自分らしい生き方を模索しているのだとしても、です。
幼い頃から「小中高一貫校に通学しなさい」「専門の資格を取りなさい」「トップ校を目指しなさい」「経済的事情で実家から通学できる範囲で進学しなさい」「進学せずに就職しなさい」など直接あるいは暗黙の圧力を感じ、自分の意志ではなく周りの大人の価値観や要求に従って進学や就職先などを決めた人は、意外と多いものです。
そのすべての人が当てはまるというわけではありませんが、中には「自分の価値観で自己決定してはいけない」「誰かに決められたことに従わなくてはならない」というスキーマを持っている人がいます。
親に決められた進路に進んだことにより社会的地位を得て、社会的成功を収めてきた人は、なおのこと。自分の感情や感覚に従って選択することは「間違い」であると信じていることがあるのです。
ですから、本来の自分のやりたいことにチャレンジしようとすると、ブレーキがかかり、やっぱり幼いころから馴染みのある世間の目や社会的評価を気にした生き方を選択した方が良いのではないかと迷い始めます。その生き方が本来の自分を見つけにくくさせているのにもかかわらず。
そして、誰かに決めてもらいたくなります。自分の感覚を信用していないし、自分で決めたら失敗すると思い込んでいるので、重要なことは、誰か権威のある人に決めてもらいたい、失敗しない方法を教えてほしい、と思ってしまうのです。誰かの言うとおりにしたら自己責任をとらなくて済みますし、言われた通りにした方が安全で無難な人生を歩めると感じるのです。
また、別のブレーキを作動させる人もいます。自分らしさって何だろう、自分の感覚をキャッチしてみよう、と考えると「めんどくさいな」という声が聞こえてくる人です。
学生の頃からからマニュアルに沿って行動し、参考書通りの解き方をすればある程度の成績を収めてきた人は、自分で考えるより、外部にある既にある答えを「なぞり書き」したほうが効率良く生きられると学習しています。ジャングルのような道なき道を模索しながら進むより、アスファルトで舗装された「失敗しない、正解するルート」を進む方が効率良いですし安全ですものね。
「失敗は許されない完璧スキーマ」を持つ人は、トライアンドエラー、試行錯誤を繰り返し、本来の自分の心の声を探る作業をすることそのものが「非効率」であり「危険」なことだと感じる傾向があります。
他にも、自分らしさを見つけようとしたって、どうせ自分の人生はうまくいきっこない、無駄だ、また悪いことが起きるに違いない、という「悲観スキーマ」が発動して、心のブレーキを踏む人もいるでしょうし、自分のやりたいことを言ったら周りに笑われるのではないか、好きなことを表現したらバカにされるのではないかと「感情抑制スキーマ」が発動してブレーキを踏む人もいるでしょう。