スキマバイトの増加は社会・経済的にプラスなのか?「自由な働き方」への満足度は高くても、“ワーキングプア”になることへの懸念

2025.12.05 Wedge ONLINE

 Timeeなどのスポットワークの浸透で新たな働き方が広がっている。スポットワークとは、数時間や1日単位など短時間・単発で働く就業形態で、いわゆるスキマバイトとも呼ばれるものだ。

(MNStudio/gettyimages)

 これらの働き方では、アプリを介して企業と労働者のマッチングが行われるのだが、その手軽さ、自由度の高さから急速に利用者が増加している。第一生命経済研究所の推計によると、スポットワークに対して支払われた総賃金額は、2022年の373億円から24年の1216億円へと3倍強に上り、スポットワーク最大手のTimeeの登録ワーカー数は24年12月に1000万人を超え、25年7月末時点で1190万人となっている。

 こうしたスポットワークの浸透は日本の社会や経済に良いことなのか、悪いことなのか。本記事では、日本の労働市場にもたらす影響について考えてみたいと思う。

どのように働いているのか

 スポットワークとは実際にどのような仕組みなのだろうか。Timeeを例にみると、働き手の「働きたい時間」と雇用主の「働いてほしい時間」をアプリによってマッチングしている。Timeeは、マッチングが成立し、実際に働いた時間の報酬の30%を手数料として受け取っている。

 Timeeにとっては、マッチング件数を増加させることが重要な目的となる。Timeeは、スポットワーカーを雇用主に紹介する職業紹介事業者であり、雇用主がスポットワーカーを雇用するので日雇い派遣とは異なる。

 スポットワークのプラットフォーム事業者は、マッチングを増やすために、アプリの信頼度を高めることに注力し、ペナルティ制度や相互評価制度などを導入している。

 ペナルティ制度は、雇用主が勤務態度の良くないワーカーを見抜くために、ワーカーが求人を直前にキャンセルした場合にペナルティポイントを課しており、ポイント数が一定の数を超えると、新しい仕事への申し込みに制限を設けている。相互評価制度は、ワーカーと企業の双方が業務終了後にそれぞれに対して「good」と「bad」の評価をできる。これによって、ワーカーの働きぶりや良好な雇用環境を維持している。

アルバイトが決まるまでのつなぎや、主婦の空き時間活用

 では、スポットワークで働く人々とはどのような人なのか。Timeeの決算資料によると、Timeeに登録し、25年7月の1カ月間に稼働したスポットワーカーは男性52%、女性48%。年代は10代3%、20代22%、30代19%と、30代以下が4割強を占めている。職業が正社員21%、パート・アルバイト・契約/派遣社員34%、学生12%、自営業・フリーランス11%となっている。

 正社員、非正規雇用、学生、フリーランスがスキマ時間を利用しての追加的収入を得るために就業しているケースや、主婦がスキマ時間に就労している実態が見て取れる。

 実際に筆者が行った調査でも、UberEatsの配達員をしていたが、閑散期で注文が少ないのでTimeeを利用して飲食店で働いた30代の男性、家事のスキマ時間で複数の職場で働く40代の主婦、将来の夢のために平日は正社員で働き、週末に追加的収入を得ている若者とさまざまだ。

 また始めた理由についても「アルバイトが決まるまでのつなぎ」(上記の学生)、「将来ジムを開業したいのでその資金を得るため」(上記の正社員)、「生活のためにしないといけない」(上記の主婦)といったものとなっている。つまり、生活のために辞められないワーカーがいる一方で、アルバイト先が決まるまでのとりあえずのつなぎとして働く学生など様々な事情で働いているのが現状といえる。