第二に欠かせないのが、目標を繰り返し語り続けることである。新年の年頭挨拶で掲げただけでは、信念にはならない。会議、評価、投資判断、日常の対話など、あらゆる場面で同じ言葉が使われているかどうか。その積み重ねが、目標を組織の共通言語へと変えていく。
第三に、目標を社外にも開くことである。顧客や取引先、社会に向けて語った目標は、簡単には引っ込められない。外に語ることで、目標は経営者自身を縛る「覚悟の言葉」となり、信念としての重みを持ち始める。
新年に目標を立てる本当の意味は、未来を予測することではない。自分たちは何を信じ、どんな基準で判断するのかを問い直すことにある。
日々の仕事の中で、判断は無意識のうちに過去の成功体験や慣習に引きずられる。「前例がある」「昨年もこうだった」という理由だけで選択を重ねてしまうことも少なくない。新年とは、そうした惰性を一度止め、「それでもこの判断でよいのか」と問い直すことが許される、数少ない節目である。
新年の目標は、未来への希望であると同時に、現在の行動を縛る基準でもある。掲げた目標が迷ったときに立ち返れる言葉になっているか、短期的な数字や外部環境の変化に直面しても、なお守り続けられるか。その耐久性こそが、目標が信念になっているかどうかの分かれ目となる。
個人にとっても同様だ。新年に立てた目標が、日々の時間の使い方や優先順位を変えているかどうか。忙しさに流されて元の行動に戻ってしまうなら、その目標は行動基準になっていない。新年は、自分自身の判断基準を言葉にし、更新するための時間でもある。