アメリカのものは自分のもの!これではまるで「UNITED STATES OF TRUMP」では?公共財産・施設、政策を私物化するトランプ

2026.01.13 Wedge ONLINE

 これまで、国の公共施設に過去の大統領の名が記されることは珍しくなく、近年の他の例では、首都近郊の「ナショナル空港」が、ロナルド・レーガン第40代大統領退任後の1998年に「ロナルド・レーガン空港」に改名され今日に至っている。

 このほか、ジョンソン、ニクソン、フォード、カーター、ブッシュら歴代大統領の名称が付けられた図書館、公園などの施設も多く存在する。いずれの場合も、支持派の有権者、議員たちのイニシアチブで命名された。しかし、大統領が在任中に自らの意思で、由緒ある施設を改称し、しかも自分の名前を付けた例は、かつてない異例事態だ。

アーティストたちは反発

 こうしたことから、文化施設までも私物化しようとする大統領の横暴に対する反発の動きが広がり始めた。中でも、トップアーティストたちの毅然たる示威行動が話題を広げている。

 まず、エミー賞受賞の女優でソウル歌手としても知られるイッサ・レイは、トランプ氏が同センター理事長に就任した直後、「音楽は人種、世代、イデオロギーを超え、すべての人々を結びつけるものであり、対立をあおるものではない」として抗議し、すでに予定されていた公演をキャンセルした。その後も、出演を検討中だったアーティストグループも計画を変更した。

 さらに、トランプ氏の名前を冠する名称変更が公表された昨年12月には、ジャズプレーヤーのチャック・レッドが「クリスマス・イブ・コンサート」をキャンセルしたのに続き、ニューヨークに拠点を置くダンスカンパニー「Doug Varone and Dancers」がSNSで「2026年4月開催予定の2回の公演中止」をセンター側に通告した。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、2回分の公演料収入は4万ドルが見込まれていた。それでもダンスグループの責任者は「政治介入により芸術の自由が損なわれることは、金銭的損出以上に重大だ」とコメントしている。

 また、年明けの去る9日、伝統ある『ワシントン・ナショナル・オペラ』が創設以来、永年活動拠点としてきた『ケネディ・センター』からの転出を決定したと発表した。その理由として、トランプ大統領が同センター理事長就任以来、不満を抱いた多くのスポンサーからの寄付やチケット販売が激減したためとしている。

 この名称変更については、法律専門家の間でも、「もともとセンターは、暗殺された故ケネディ大統領のメモリアルとして米議会で成立した法律に基づき設立されたものであり、議会の承認なしに元の名前を変更することは許されない」として、批判が渦巻いている。

ビザ発給やホワイトハウスも「自らのもの」に

 さらに同月、大統領は、国立の学術研究施設である「平和研究所(Institute of Peace)」について、「Donald J. Trump Institute of Peace」に改変させたほか、米海軍に対しては、自らの名を付した次世代「トランプ級戦艦」の建造を指示した。

 このほか、大統領は昨年9月、米国内での居住と就労を希望する富裕外国人に対し、一人当たり100万ドルの代価で優先的審査と認可を約束した「Trump Gold Card」ビザ発給計画を発表。カード表面は、自由の女神を背景にトランプ氏の肖像が大きく刷り込まれ「第45代および47代米国大統領」の文字と自らの署名が入ったデザインとなっている。

アメリカ合衆国政府公式サイトより

 続いて、全米の国立公園を管理する内務省は昨年10月、すべての公園、施設に自由に出入りできる「年間特別パス」について、26年度分からトランプ大統領の顔写真を刷り込んだデザインに変更すると発表。自然保護団体は「毎年、国立公園の美しい景観を撮ったフォト・コンテストの中から選ばれた最優秀ショットがデザイン化されてきた慣例を破る前代未聞の政治介入だ」として、告訴している。

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