日本フィギュア史上、ペアが最も輝いた日…「りくりゅう」日本勢初の金メダル獲得、埋めた競技の“差”、冬の時代を乗り越えた地道な努力

2026.02.19 Wedge ONLINE

 ミラノ・コルティナオリンピック(五輪)のフィギュアスケート・ペアで愛称「りくりゅう」の三浦璃来、木原龍一組(ともに木下グループ)が日本時間2月17日、この種目の日本勢初となる金メダルを獲得した。男女のシングルが実力も人気も圧倒的な日本フィギュア界にとって、カップル競技のペアは実力的にも世界のトップとは差があり、長らく脚光を浴びることがなかった。

(PA Images/アフロ)

 ペアにようやく注目が集まるようになったのは、「りくりゅう」が世界のトップレベルへと躍進したここ数年のことである。結成から7年。地道な努力を積み重ね、じっくりと強く根を張った2人の努力が、ついに大舞台で大輪の花を咲かせた。

メディアをジャック

 東京都内で駅売りされた2月18日付のスポーツ紙の一面は「りくりゅう」がジャックした。一般紙の扱いも大きく、前日には一部で号外も配られた。

スポーツ紙の一面はすべて「りくりゅう」に(筆者撮影、以下同)
一般紙も大きな扱いだ

 インターネットメディア「ENCOUNT(エンカウント)」によれば、演技直後の17日早朝は、国内のXトレンドの1位~8位までをミラノ・コルティナ五輪のペアに関連する話題が独占。テレビでも情報番組からスポーツニュースまでを席捲した。

 日本選手団のメダル獲得数で、前回2022年北京五輪に並ぶ18個目となった2人の金メダルは、日本のフィギュア界においても、女子で06年トリノ五輪の荒川静香さん、男子で14年ソチ、18年平昌両五輪の羽生結弦さんに続く4個目の快挙ともなった。

 「りくりゅう」の2人は昨季の世界選手権覇者で、団体戦ではショートプログラム(SP)、フリーとも種目トップの成績で日本の銀メダル獲得に大きく貢献。金メダル最有力と目されて個人戦を迎えた。

 しかし、日本時間16日のショートプログラム(SP)では、得点源であるはずの高く、美しいリフトでまさかのミスが出た。失意の5位スタートに立ち込めた暗雲を、翌日のフリーで吹き飛ばした。

 世界歴代最高となる158.13点をマークする会心の演技。リフトはすべて最高難度のレベル4と本来のパフォーマンスを取り戻しての大逆転劇だった。

 三浦選手が「昨日(SP)の失敗から、自分たちのできるすべて出し切ることができた。そこが本当にうれしい」と声を弾ませ、木原選手も「諦めなかったことがよかった」と大粒の涙が止まらなかった。

五輪出場も長らくなかった

 五輪のフィギュアスケートは男女とペア、アイスダンスの4種目が実施されているが、日本の歴史を振り返ると、男女とカップル競技の2種目では人気にも、競技レベルにも大きな差があった。

 潮目が変わったのは、ソチ五輪での団体戦実施だった。男女で世界トップレベルの実力を持つ日本が、フリーへ進むための上位5チームに入るには、ペアとアイスダンスの底上げが不可欠だった。

 アイスダンスには10年バンクーバー五輪から出場していたキャシー・リード、クリス・リード組がいたが、ペアは見当たらなかった。

 ペアはスロージャンプやリフトなどダイナミックな技の練習に危険が伴い、リンクを貸し切って練習する必要もある。そんな練習環境を日本で見出すことは困難だった。何よりも、男女が一緒に滑る2カップル競技は日本の文化になじみにくいとされ、五輪出場も98年長野五輪を最後にから遠ざかっていた。

 ソチ五輪を前に、日本のペアを牽引していたのは、高橋成美、マービン・トラン組だった。

 海外を拠点に練習をしていた2人は12年の世界選手権で銅メダルを獲得。しかし、トラン選手はカナダ国籍だったため、日本代表として五輪に出場することができなかった。国籍取得に必要な居住年数なども満たしていなかった。

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