平均価格が1億円超えした東京23区のマンション…これでは中間層が買えない!投機的売買を抑制できるか?

2026.02.26 Wedge ONLINE

 短期売買の比率は全体的には予想されていたほど高くはなかったものの、1億円以上の億ションの売買が当たり前となった東京都心部では売買益を狙った短期売買は増加傾向にある。

 心配されていた「国外からの取得割合」(25年1~6月)も、東京都が3.0%、東京圏が1.9%だった。この数字は予想していたものより低く、外国人が高額物件を買い占めているというほどの実態はないようだ。

 これを受けて、国交省は「実態を把握したうえでその結果を踏まえて対応する。まずは実態把握を継続しつつ、不動産協会会員各社の対策の効果を見定めたい」(国交省住宅局の野口知希住宅戦略官付住宅産業適正化調整官)という。

 マンションを買ってから5年以内に売却した場合に課税される短期譲渡益課税の税率は現在39.63%だが、これを引き上げれば、短期取引に対しては確実にブレーキ役となるが、国交省は不動産取引や資産価値への影響など様々な観点を考慮する必要があり、難しい課題と捉えているという。

 また、不動産協会は、国交省の調査公表を受けて同日、「分譲マンションの投機的短期転売問題にかかる取組みについて」を発表した。投機目的の購入・短期転売は好ましくないとして、具体的には、①登録・購入戸数を1物件当たり制限、②契約・登記等名義の厳格化、③売買契約締結から引き渡しまでの期間の売却活動の禁止を基軸にして今後、各社ごとに対策をとる。これを受けて、住友不動産、三井不動産など同協会正副理事長会社8社は、この対策の導入を決めたとしている。

 その一方で、「憲法に『財産権の保障』が定められており、そもそも自由経済において、私的財産の処分に関する権利に制限をかけるのは、慎重に考えなくてはならない」とも指摘し、これ以上、マンション取引に関して制限を加えることには消極的な姿勢だ。

供給不足の解消を
将来を見据えた対策

 建設省(現・国交省)出身で日本大学経済学部の中川雅之教授は「投機的取引か、まともな投資行為かどうかを区別するのは難しい。それよりも、空き家になっているかどうかを目印に取り締まりをした方が良いのではないか。国交省の住宅局は、遊休不動産はこれまでは地方の問題とみていたが、供給面の対策として、空き家対策も含めて東京の遊休不動産の活用をすることを考えているのではないか。

 もう一つの対策として、需要側に対して何らかのサポートをする必要がある。東京都は26年度より、子育て世帯やひとり親世帯を対象に、手頃な価格で設備の整った『アフォーダブル住宅』を供給する事業を打ち出したが(わずか200戸では)当選した人と外れた人との間で不公平感が出る。

 東京がこれからもグローバルな都市として機能し続け、国際競争力を維持していくためには、高スキル人材に加えて、公共サービスを提供する人や医療・福祉などの『エッセンシャルワーカー』が都心近くに住めるよう手厚い対策を取る必要があるのではないか。また、中高年齢者が保有している金融資産が生かされていないので、この資産をうまく活用して高齢者と他の世代が一緒に住めるような住宅(シェアハウス)を作るのも、供給不足解消につながるのではないか」といくつかのアイデアを提案する。

 専門家の一人は「日経平均が上昇している間は、富裕層の資金力が増えるためマンション価格は値崩れしない」と説明する。だが、それが当てはまるのはマンションを購入するのに銀行ローンを組む必要のない、株価の値上がりで潤っているキャッシュリッチな富裕層たちだけだ。

 マンション購入希望の中間所得層は、変動金利の住宅ローンを組む人が多かったが、金利上昇を見越して、変動から固定金利に変えようとする動きもあるという。しかし、10年固定の最優遇金利でも大手銀行の平均で3%近い水準まで上昇している。

 衣食住は人間の基本的な生活基盤であり、「住まい」の安定は暮らしの安心にもつながる。所得格差が広がる中で、有効な対策が打ち出されなければ、中間所得層のマンション購入の夢は、ますます遠のくばかりだ。