あの会場周辺はどうなった?大阪・関西万博閉幕から半年、レガシー活用の進捗、今こそ商都・大阪の意地を見せる時

2026.05.15 Wedge ONLINE

 大阪・関西万博の閉幕から半年が経過した。万博は2025年4月13日から10月13日までの半年間、大阪市の人工島・夢洲で開催され、終盤にかけて大きなにぎわいをみせた。会場跡地では現在、大屋根リングやパビリオンの解体工事が進む。閉幕直後にいわれた「万博ロス」の余韻が薄れる中、少しでも早く万博レガシー(遺産)活用の道筋をつけたいところだが、現実は厳しい。

大阪メトロ夢洲駅の地上から望んだ大阪・関西万博会場跡地。奥に見える大屋根リングは解体が進んでおり、すでに1周はつながっていない(今年4月、筆者撮影)

 万博で運行した電気自動車(EV)バスは不具合が相次いだため路線バスへの転用を断念。肝心の夢洲の跡地活用も明確に決まっておらず、万博を生かした経済成長の実現は踏ん張りどころだ。

実現されない最先端技術の実用化

 今年4月中旬の昼下がり、かつて万博会場の玄関口となっていた大阪メトロ夢洲駅は、利用者の姿もほぼなく静まり返っていた。わずか半年前まで連日十万人以上が駅を利用し、入場規制が行われる混雑だった。現在の駅構内では、大屋根リングのイメージ映像などを映し続ける全長55メートルの巨大LEDビジョンだけが、万博の往時をしのばせる。

大阪メトロ夢洲駅の構内。平日の午後だったが利用者の姿はほぼなく、左に見えるLEDビジョンが大屋根リングなど万博関係の映像を流し続けていた(今年4月、筆者撮影)

 同線は閉幕後、大幅に減便。現在の夢洲駅は、万博の解体工事や隣接するカジノを含む統合型リゾート施設(IR)工事の作業員らが主に利用している。

 関西の大手私鉄の25年4~12月期連結決算は、万博やインバウンド(訪日客)の需要増で阪急阪神ホールディングス(HD)と京阪HD、南海電気鉄道の3社が4~12月期として過去最高益を記録。各社は今、万博で得た需要を生活・観光需要として定着させることが課題となっている。

 万博の誘致から資金集めまで旗振り役を果たした関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は、開幕前から「万博を一時の祭りにしてはならない」と言い続けてきた。地元政財界に共通する考えであり、それには半世紀前に開催された1970年大阪万博後に関西経済が長期間低迷した反省がある。

 今回の万博の一般来場者は2500万人超を記録したが、70年万博は同じ半年間でそれをはるかに上回る約6400万人が来場。高度経済成長の到達点であり、動く歩道や人間洗濯機など近未来の技術が披露され、万博後の関西の発展への期待は最高潮に達した。だが、現実はそうはならず、70年当時に国内総生産(GDP)の約20%を占めた関西経済は閉幕後から落ち込み、近年は15%程度で推移している。

 半世紀にわたる低迷の要因は複合的なものとされ、万博関連工事の押し上げ効果がなくなる中、オイルショックや企業の製造拠点の海外流出、バブル経済崩壊に見舞われたことがある。関西で物流を活性化させるためのインフラ整備が十分でなかったことも大きく、東京一極集中が加速し、関西は首都圏と中部圏の3大経済圏で「負け組」の状況が近年まで続いた。

 同じ轍を踏まないため、今回の万博で期待されたのが、会場で紹介された最先端技術の社会での実用化だ。例えば空飛ぶクルマやiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作ったミニ心臓、アンドロイド、人工知能(AI)など、関西を拠点に産業化することで、地元の中長期の経済発展につなげようとしている。

 ただ、産業化に向けた議論は進んでいるものの、具体的な成果を挙げているものはほぼないのが実情だ。大阪市中心部の中之島地区では、24年に再生医療の産業化を進める未来医療国際拠点「中之島クロス」が開業したが、大きな潮流を作り出すには至っていない。JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた」では、万博を機に金融機関を中心にスタートアップ(新興企業)の支援拠点が続々と開業しているものの、取り組みは始まったばかりで成果は未知数だ。