物流の「2024年問題」から2年が経過した。
去る3月31日には、政府が物流政策の指針を示す新たな総合物流施策大綱(26~30年度)が閣議決定された。新しい総合物流施策大綱の見通しでは、30年度には輸送力が約7~25%不足するとしている。需要量が新型コロナウイルス感染拡大前の19年度ベースにまで回復した場合には、大きな需給ギャップが発生するが、需要が現状のペースで推移し、物流改革が進まなかった場合、10%程度不足するという想定である。
この数字だけみると、影響は軽微と感じるかもしれないが、要請すれば物流サービスはいつでも提供してくれるというこれまでの姿は、今後望めないということを物語っている。そして最も問題なのは、30年度以降、急激にドライバー数が減少することである。24年度は88万人なのに対して、30年度は81.3万人で7.7%減にとどまるが、40年度には62.0万人で29.5%減、50年度には45.1万人で48.7%減と深刻化する。ドライバー不足による供給制約は、中長期的な問題ととらえることが欠かせない。
物流においては、ドライバーの時間外労働に上限規制がなされた「2024年問題」に続き、26年問題、28年問題、30年問題があるともいわれている。なぜ2年おきに問題が起きるのか。これは物流に関連した法律改正や施行が立て続けにあり、企業が新たな対応を求められるからである(下図参照)。
そうした対応策として、一般的には新技術の導入やDXなどが挙げられるが、残念ながら物流においてはそのような取り組みだけではなかなか解決できない根本的な構造問題がある。
これまでの日本の物流は、低賃金、長時間労働によって成立してきたが、もはやそれは限界にきている。荷主企業内において、物流を重要視しない傾向もあり、社会全体における物流の位置づけが低いという根本的な問題を是正しなければ抜本的改革にはならないといえる。
26年4月に改正物流効率化法が全面施行され、物流統括管理者(CLO)の議論が活発化している。
CLOは、発着取扱貨物量が年間9万トン以上の特定荷主(約3200事業者)において、役員など経営幹部の選任が義務付けられるものである。各企業は、積載効率の向上や荷待ち時間の短縮、荷役などの時間短縮が求められる。
その中でCLOの役割は、中長期計画の作成、定期報告の作成、報告徴収への対応が挙げられる。同時に統括管理すべき業務としては、開発、生産、流通、販売、調達、在庫管理、その他の貨物の運送または受け渡しに関係する業務に係る各部門間の連携体制の構築、取引先その他の関係者との連携および調整である。これら業務をCLOが意識をもって遂行するのかが、今後の物流改革に大きな影響をもたらす。
CLOの選任は、企業によって対応に大きな差異がある。日清食品や三菱食品など、企業全体の改革につながるような人材を選任した企業もある一方で、従来の物流部長と同じ位置づけで、そのまま選任する事例も多い。さらに物流業務を包括して請け負う3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)事業者などに外部委託して丸投げをしてしまっている企業も多く、自社内には物流業務全体を把握できている人材がいない場合も見られる。
こうした背景には、メーカーにおいては、開発部門、営業販売部門、生産部門などの力が相対的に強く、物流部門は弱い立場にあったことが挙げられる。物流部門は「いかに安く業務を遂行するか」が求められており、〝コストセンター〟として位置づけられていることが大きい。そのため、なかなか人材が育っていない問題がある。