トランプと対峙する民主党有力候補4人に注目

第3の課題は、批判対象となるトランプ政権自体の外交方針が定まっていないことである。すでに述べたように、世界におけるアメリカの役割をめぐっては、共和党の中においても、大きな考え方の違いがある。

とくにトランプ政権では、「アメリカ第一」の路線を掲げるトランプ大統領と、主流派の外交路線を重視する政権幹部が同居する形になっていて、基本的な外交方針そのものが見定めにくい。「アメリカ第一」路線と主流派の外交路線とで大きく立場が異なる争点も少なくないだけに(対ロシア政策や同盟国との関係など)、こうしたトランプ政権の特質が、民主党候補を悩ます場面も出てくるかもしれない。

いずれの候補者にとっても、民主党の指名を勝ち取ることが、まずもって重要であることは間違いない。しかし、このたびの民主党予備選では、「トランプ大統領に勝てる候補者」を選ぶことが極めて重視されているとも言われる。こうした点を踏まえると、民主党の各候補者にとっては、本選挙も見据えた発信や振る舞いが、ますます重要になってくるであろう。

(文/西住祐亮)

【著者略歴】
西住祐亮(にしずみ ゆうすけ)
/中央大学講師
1982年生まれ。2015年、中央大学博士後期課程修了。千葉商科大学講師を経て、現在は国立国会図書館非常勤調査員なども務める。論文「オバマ政権下における紛争介入政策の検証 介入と不介入の狭間で」など。