会社員が「戦略を考える力」を身につける超基本

ビジネスの現場で触れる機会が多い「マーケティング」という言葉、そもそも何を示しているのでしょうか?(写真:metamorworks/PIXTA)

ビジネスパーソンであれば、「マーケティング」という言葉に触れる機会は多いはずです。例えば、仕事においては、次のような状況でマーケティングが必要とされるのではないかと思います。

・マーケティング戦略を考える
・マーケティング調査をする
・マーケティング予算を決める

事業立ち上げや事業計画を作るときに、マーケティングという観点は無視することはできません。このようにビジネスの現場で出会うことが多い「マーケティング」という言葉です。そもそもマーケティングが重要であることはわかっているけれど、そもそも何を示しているのでしょうか? よくわかっていない人も多いと思います。

そこで今回は、拙著『マーケティング思考力トレーニング』の中から、マーケティング思考力を身につけるために、知っておきたいことをいくつかご紹介したいと思います。

マーケティングミックス、4つの「P」

まずは、「マーケティングミックス 4P」と呼ばれる代表的なフレームワークをもとに、「マーケティングとは何か?」について、考えていきたいと思います。

この4つの要素を組み合わせて、適切に価値を届ける構造を作ることが、マーケティングを考えるうえで重要です。

しかし、マーケティングはこの4Pの中の「広告/Promotion」のことだと、とらえられていることがほとんどではないでしょうか。マーケティングの仕事に携わっている人であっても、広告の企画や運用など部分的な活動に関わっているだけで「マーケティング戦略そのもの」を考える機会は限られているという声をよく聞きます。

まず、マーケティングを次のように定義するとわかりやすいでしょう。

マーケティングは、企業が価値を提供して、その対価として消費者が金銭を支払う交換行為

マーケティングが機能するとは?

①届ける価値を最大化・最適化する
②ユーザーのニーズ・ウォンツが満たされる(喜ばれる)
③企業が儲かる

この3つの状態を作り出すことがマーケティング戦略が機能しているということなのです。ですから、マーケティングを考える際は、広告や価格決定などの一部分だけではなく価値の交換行為の全体像をイメージするようにしましょう。

マーケティングとは何かを整理したところで、マーケティング戦略を考える力をどのように鍛えるのかについて考えてみましょう。

マーケティングの入門書やマーケティング戦略を考える力を鍛えるためのフレームワークを解説した書籍やネット記事はたくさんあります。読者の皆さんもお読みになったことがあると思います。しかし、実際には次のような悩みを抱える方が多いのではないでしょうか?

・マーケティングの書籍を読んだことあるけれど、実際の仕事に活かせていない
・フレームワークを知っているけれど、使いこなせていない/そもそもどう使えばいいかわからない
・戦略を描く力を鍛えたいけれど、何から始めればいいのかわからない

多くのビジネスパーソンは「マーケティング思考」や「戦略を考える力」が大切であることは理解していると思います。しかし「どのように身につければよいか?」はわかりづらいのではないでしょうか。では、マーケティング戦略を考える力はどのように身につければ、いいのでしょうか?

日本の伝統芸能の世界で有名な「守・破・離」という考え方があります。

①守……お手本や基本を忠実に守る
②破……お手本に自分なりの工夫を加える
③離……まったく新しい自分独自のものを作る

この守破離はビジネスの世界でもよく使われます。簡単にいうと、独自のアイデアはトレース(模倣)から始まるということです。