部下の生産性下げる「感情的な上司」がマズい訳

感情が存在している目的は、ただ感情を感じるためです。自分1人のときでも構いません。つらいときは「つらいなぁ」と口に出し、腹が立ったら「むかつくなぁ、嫌になるな」とつぶやくと少し気持ちが浄化されるはずです。自分がどういう気持ちでいるのか、あえて紙に書き起こすのにも同じ浄化効果があります。

ポジティブ・シンキングの罠

一方で、最近もてはやされるポジティブ・シンキングは過度にやりすぎると危険です。陽への執着が、「陽」でないことへの恐れや、「陰」を受容できなくなる状況を生み出すからです。すると、想定外のネガティブな出来事に遭遇したときに、「そんなはずはない」と事実を受け入れることができずに自分をだまし続け、そのあとの改善に移ることが難しくなります。

リーダーは、起きた出来事や、その時々で持つ感情をまずは素直に受け入れつつ、時に右に左にかたむきながらも、最後は「心のやじろべえ」をバランスさせることを意識しましょう。感情を感じ尽くし、味わっていくという心構えです。

仕事において「あの行動はなかったことにしたい」という後悔は誰しもあります。

「なぜ、あのときにこうしなかったのか」と悔やんでも時間は戻らず、前へ進むだけなのでどうしようもありません。飲んで発散という手もありますが、それでは心だけでなく体も懐も傷めてしまいます。日々積み重なる後悔に対し、私たちはどう折り合いをつけていくと良いのでしょうか。

今、「セルフコンパッション」という概念が注目されています。

不完全な自分を優しく受け入れることで、自信を回復させる方法です。あなたという存在は、あなた以下でもあなた以上でもありません。実力不相応に背伸びをしても、すぐに足がつってしまいます。まずは等身大の自分をそのまま受け入れるという姿勢が大切です。

完璧主義は禁物

もし「周りから下に見られる。嫌われたくない」と必死になっているとしたら、それはほかならぬ、あなた自身が「本当の自分は駄目で嫌われる」と思い込んでいるせいなのかもしれません。

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何かと「出る杭は打たれる」今の社会において、あなたまで自分の敵に回ってしまっては味方がいなくなってしまいます。

とくに完璧主義は禁物です。「100点の出来ではないかもしれないけど、今の自分ができる100点でやればいい」ぐらいの心持ちでちょうどいいのです。

これからのチームは、あなた自身がスーパーなリーダーでなくても、チームさえうまく機能していれば必ず結果はついてくるからです。

「よく見せたい」よりも「よくなりたい」という気持ちこそ、大事にしていきましょう。