サッカーとラグビー「異例タッグ」実現の深い訳

「相互集客はわれわれにとっても大きなメリットになります。愛知県には野球・バスケ・バレーボールなどさまざまなチームがありますから、チケットを一度に買えるようなシステムを作れれば横断的に観戦する方も増える。そういうことも長期的には考えていければいいと思います」

マーケティングノウハウをスポーツ団体へ外販

清水専務が言うように、これまで1つの地域で複数競技のチケットを同時に買えるというスタイルはあまり見当たらなかった。中日ドラゴンズとグランパス、ヴェルブリッツ、シーホース三河、トヨタ車体クインシーズのチケットが一元管理され、多彩な試合観戦が可能になれば、愛知県エリアのスポーツ人気はより高まり、レベルアップにもつながるだろう。

「グランパスとしては、今回の提携を機に、マーケティングのノウハウや蓄積を他のスポーツ団体に提供するビジネス展開も中長期的視点で考えています。コロナ禍で2020年の入場料収入は2019年の30%にとどまるなど、経営的に厳しい昨今ですから、新たな収入源を確保しなければいけない。それはどのクラブも同じだと思います。われわれは愛知県、トヨタグループという強みを生かしながら、売り上げを増やす努力を進めたいですね」

清水専務がこう語るように、マーケティングノウハウの外販という新展開は数年後の名古屋にとって巨大なビジネスになるかもしれない。いずれにしても、両者の連携が日本のスポーツ界に新風をもたらし、観戦者にとって利便性の高い状況になることを期待したい。