私たちはなぜ眠る?日本人に足りない眠りの効能

ウォーカーによれば、睡眠不足が蓄積すると人づきあいを避けるようになるという。それだけではない。引きこもりのような効果を生み、人づきあいを避けたがっているというシグナルを周囲の人間に送ってしまい、周囲があなたとのつきあいを躊躇してしまうのだ。

社交生活を円滑にするためにアルコールに頼る人は多いが、まずはその前に、睡眠の質を改善しよう。

それでは、睡眠時間はどのくらい必要だろうか。一般的に、成人の場合は7~8時間、10代であれば9~10時間が望ましい。

睡眠の長さは重要だ。なぜなら私たちは、入眠後の時間帯によってふたつの異なる睡眠状態を体験するからだ。入眠直後には深いノンレム睡眠が訪れて、大脳が休息する。その後に訪れる浅い眠りのレム睡眠では、記憶を定着させ、思考を整理する。

ぐっすり眠って、朝は自然に目覚めよう。目覚まし時計が必要な人は、目覚ましアプリを使ってみよう。眠りが浅くなるタイミングで起こしてくれるため、気持ちよく朝が迎えられる。

睡眠の質について言えば、大切なのは午前中に明るい光を浴びることだ。太陽の光が望ましいが、照度が充分にあれば人工的な照明でも効果がある。明るい光を浴びれば、睡眠ホルモンのメラトニンが1日の早い時間に産生されるだけでなく、夜、眠りにつきやすくなる。

寝室は涼しくして約18度を保ち、暗くすること。目覚まし時計の表示などの、どんな小さな光でもまぶたを通して入ってくるため、睡眠の質が低下して、翌日の認知機能が妨げられてしまうからだ。遮光カーテンやアイマスクを試してみるのもいいだろう。

私がおすすめするよく眠るコツ

ぐっすりと眠るための秘訣を整理しよう。

▼毎日同じ時間にベッドに入ろう。

しっかり眠るためには、毎晩、同じ時間にベッドに入ることだ。就寝時間を守ろう。眠る時間を遅らせると逆効果になって、からだが警戒態勢のままになり、不眠症につながるかもしれない。

▼エクササイズをしよう。

定期的なエクササイズは睡眠の質を向上させる。屋外のエクササイズなら太陽の光を浴びることになり、相乗効果が期待できそうだ。エクササイズの習慣がない人も、夜にエクササイズをするだけで、ぐっすり眠れるかもしれない(ただし、就寝の2時間前までには終わらせよう)。

▼就寝前に入浴するかシャワーを浴びる。

入浴やシャワー後に深部体温が下がると、からだが眠る準備をはじめる。

▼ベッドは就寝と性行為だけに使おう。

目が覚めたらすぐにベッドから出て、夜までベッドに入らない。ベッドのなかで食べたり、仕事をしたりしてはいけない!

▼アルコールを避ける。

アルコールを飲めば早く眠りにつけるが、レム睡眠の時間が減ってしまう。飲んだときには酔いをさましてから寝よう。

▼就寝2~3時間前になったら、ブルーライトカット眼鏡をかける。

スマートフォンやラップトップ、テレビの画面が発するブルーライトは眠りを妨げ、翌朝のあなたを“光の二日酔い”にする。

食事にも眠るコツがある

▼カフェイン禁止時間を決めよう。

午後4時を過ぎたらカフェインの摂取を控えよう。遺伝子によってカフェインの代謝速度が遅い人は、禁止時間をもっと早めに設定したほうがいいだろう。

▼オメガ3系脂肪酸や食物繊維をたっぷりとる。

炎症は睡眠の質に影響を与えるため、オメガ3系脂肪酸(サーモン、サバ、ニシンなどの冷水性海水魚に含有量が多い)や、食物繊維をたくさん摂取すると、ぐっすり眠れて元気が回復する。

▼就寝2~3時間前には食べない。

夜遅い時間に食事をした翌朝、ひどい気分だったことはないだろうか。私には経験がある。夜食が睡眠の質を妨げてしまうからだ。

(構成 笹幸恵)