何だかパッとしない朝に「自律神経」整える仕込み

自分の体に耳を傾ける、朝のチェックポイントを紹介します(写真:アン・デオール/PIXTA)
朝起きて天気が悪いと頭痛がする、しっかり眠れず、前日の疲れが取れていない……「なんだかな……」という不調は、体と心が発しているサインです。そのサインを放っておくと自律神経が乱れ、悪循環に陥ります。そこで自分の体に耳を傾ける、朝のチェックポイントを、自律神経研究の第一人者である小林弘幸先生の新著『「なんとなく…」の不安や疲れがスーッと消える 「自律神経を整える1日の過ごし方」を聞いてきました』から紹介します。

憂うつな朝は無理にポジティブにならなくてよし

──最近、毎朝、目覚めると、「あ~、今日も会社か……」と思ってしまいます。とくに大事な会議がある日は、このままベッドにいたいなあと……。「仕事を辞めちゃおうかな」と考えてしまうこともあります。

小林弘幸先生(以下、小林):高熱やおなかが痛いなどの症状がなくても、なんとなく会社に行きたくない……と思うことは、誰にでもあることです。実は、私も仕事なんか行きたくないと、若いときはよく思っていました。とくに日曜日の夕方は、必ずといっていいほど憂うつになっていました。

──そうなんですか? 意外です。

小林:ちなみに、日曜日の夕方になると憂うつになり、倦怠感や体調不良につながる症状は『サザエさん症候群』といわれます。欧米では仕事が始まる月曜日のことを『ブルー・マンデー』と呼びますが、どちらも休日と平日の過ごし方にオンとオフの差が激しいことが原因です。

人は、すべてにおいて「頑張ってやろう」と前向きに思っていられるほど強くはありません。やらなくてはいけない、出社しなければいけない、とわかっているけれど、どこかで「○○しないといけないのか……」「サボりたいな……」など、後ろ向きに物事を捉えている部分もあります。それは自然なこと。人間とはそういう「生き物」だと認識するところからはじめてみましょう。

──先生でも「○○しないと……」と思うことがあるんですね。

小林:ありますよ。面倒くさいな、嫌だなと思うことはつねにあります。どんなことでもポジティブに考えられたらいいでしょうけど、物事に対して後ろ向きな感情を持つことは当たり前です。

──そんなときはどうしたらいいんですか?

小林:そう考えてもいいんだ、と受け入れることが大事です。なにも、すべてポジティブに考えなければいけない、と思わずに、少しでも前向きな思考が勝ればいいだけだと思っています。

──それだけでも、ちょっと気持ちが楽になったような気がします。

小林:少しでも前向きに物事を捉えるためには、ちょっとしたコツがあります。それは自律神経の切り替えをスムーズにさせることです。

──自律神経の切り替え……。どういうことですか?

小林:朝、目覚めたときは、体がリラックスモードである副交感神経が優位な状態から、アクティブモードである交感神経が働き出す切り替えが起こるタイミング。そのときにしっかりギアチェンジすることが大事です。

自然光を浴びるとアクティブモードへ

──なるほど。自律神経を、上手にギアチェンジする方法はあるんでしょうか?

小林:そうですね。私は朝起きたら、すぐにカーテンを開け放して、太陽の光を体全体で受け止めるようにしています。そうすると自然と頭も前向きな気持ちになりますよ。アクティブモードである交感神経にしっかり切り替えることで「まあ頑張ってみようかな」と、なんとなくやる気が出てくるものです。

これは、太陽の光が目から脳に伝わり、私たちの体に備わる「体内時計」が刺激されるからです。体内時計は体温や血圧、睡眠などの体内のリズム、ホルモン分泌などを調節します。とくに太陽の光を浴びると「セロトニン」という神経伝達物質が大量に分泌されます。