堀江貴文「これからは地方の時代」断言する理由

撮影:HARUKI
IT業界を牽引してきた堀江貴文氏と、サイバーエージェント代表の藤田晋氏。数々の試練を乗り越えてきたふたりですが、ビジネスパーソンにとって重要だと指摘するのは才能でも、頭の良さでもなく「ハートの強さ」だといいます。リレー形式で語る共著『心を鍛える』から、一部抜粋・再編集してお届けします。(前回の記事はこちら・藤田氏の記事はこちら

僕は2021年5月、「福岡北九州フェニックス」という新球団を設立した(プロ野球独立リーグの九州アジアリーグに2022年から参入予定)。

そもそも、僕が主宰しているオンラインサロン「HIU」(堀江貴文イノベーション大学校)に、九州アジアリーグの「火の国サラマンダーズ」神田康範球団代表から、独立リーグ設立の話があったことがきっかけだ。
「それなら新しい球団を作って、オンラインサロンのメンバーで運営をしたら面白いんじゃないか」と思いついた。新球団の年間予算は約1億円。「NPB(日本野球機構)の球団を作るのに比べたら、参入障壁は低い」と思い決断した。

そもそも僕は2004年に、楽天との「球界参入争い」を繰り広げた。また2021年2月から、プロ野球独立リーグのBCリーグに所属する「埼玉武蔵ヒートベアーズ」に出資をしたり、アドバイザーを務めたりしている。

さまざまな事業に手を広げているように見えるかもしれないが、行動は一貫しているのだ。

理念は「NPBにできないことを」

球団名は「福岡北九州フェニックス」。2004年当時に公募で挙がった「仙台ライブドアフェニックス」から継承することにした。仙台で日の目を見なかった「不死鳥」が、17年越しに北九州で復活するのも面白いだろう。ユニフォームも(当時の)フェニックスのデザインを踏襲する。理念は「独立リーグなりの、もっとライトな楽しみ方を。NPBにできないことを」。

飲食や娯楽を含め、多様な観戦スタイルを提供するボールパークを構築したい。「ゲスト選手」のような仕組みも実現したいと思う。たとえば、清原和博さんが1打席でも出てくれたらうれしいだろう。

初年度の選手は約25人の見込みだ。10月のトライアウトには、なんと約60名もの精鋭が集まってくれた。とはいえ、僕は出しゃばりたくない。「株主」「取締役」として、基本的にオンラインで関わるつもりだ。文句は言わず、大きな方向性を間違わないように見守るスタンスである。もちろん、投資もしているし、スポンサー集めも手伝う。

新球団なので、ある程度は自由にさせてもらいたいというのが本音だ。とはいえ、「野球界」のことなので、諸先輩方は立てていきたい(笑)。

2004年の騒動の頃は、アメリカのMLB(メジャーリーグベースボール)の球場をいくつか訪れ、勉強させてもらった。最近、アメリカでは、野球場を「スタジアム」ではなく「ボールパーク」と呼ぶが、そのエンタメ性は素直にすごいと思った。

キャリアが長いコアなファンを否定するのではなく、年に数回しか来ないライトなお客さんを歓迎する環境を作りたい。たとえば、楽天の「VIPシート」などの取り組みは素晴らしい。

海外のプロスポーツでは、「VIP室」は社交の場になっている。だから北九州も政財界の人が社交の場で使えるようになるといい。将来的には、どこかの球場を借りるなり買うなりして、ゴージャスな場を作れたら最高だと思う。

最終的にはNPBも、既存の12球団よりも16球団くらいになったほうがいいだろう。「増やしたくない」という人もいるかもしれない。でも、ビジネス的にポストシーズンの放映権も高く売れるはずだし、球団数は増やすのが得策だと思う。「九州からもう1チームぐらいNPBの球団を作ろう」なんて動きが出てきても楽しいだろう。