今の若者に上の世代が絶対取ってはいけない言動

「俺の若い頃はガンガン深夜残業して成長したんだよ」なんて苦労話をしたつもりが、話を聞かされた若者はドン引きかもしれません(写真:kou/PIXTA)

読者の皆様の組織には、新卒の人材が加わっただろうか。毎年、新入社員の特徴にタイプ名をつけて発表している産労総合研究所によると、2022年度(令和4年度)の新入社員は「新感覚の二刀流タイプ」らしい。

ちなみに、2021年は、同社によると「仲間が恋しい ソロキャンプタイプ」だった。

オンラインでつながりつつも、不安で孤独な就職活動。初めてだらけのソロキャンプ のように、まごつくことも多かったが、気持ちを切り替え、工夫し、たくましくなってきている。一方で、心理的距離はどうしても遠く、仲間への恋しさも募っている。そんなネーミングだった。

「新感覚の二刀流タイプ」の由来

今年の「新感覚の二刀流タイプ」のネーミング由来は以下のようなものだという。

コロナ禍の制約がある中で、インターンや就職活動を、対面とオンラインの2つのスタイルを二刀流のように駆使。一方で、就職活動時に、職場の雰囲気や仕事に関する情報が得にくかったこともあり、入社後は、思い描いていたイメージと実際とのギャップにとまどいやすい。これまで以上に、新感覚(対面コミュニケーションの不慣れ、SDGsや社会課題への興味、働き方志向の強まり等)があるとされる。

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なるほど、彼らの就活状況がよく反映されたネーミングなのかもしれない。

読者の皆様もイメージしてほしいのだが、今年の新卒はなんと大学生活の半分は、激動のコロナ禍でリモート中心だった。新たな常識にも柔軟に対応しながら就職という大事な意思決定をした彼らは、社会人1年目の時点で変化の激しい時代を生き抜くリテラシーが身についている頼もしい存在ともいえるかもしれない。

しかし、そんな今の新入社員の強みをどう活かすべきか、良かれと思った上司の言動で台無しにしてしまうこともある。筆者・徳谷の経営するエッグフォワードにも、新入社員や若手社員の活躍促進に向けた相談は増える一方だ。そこで、今回は、上司側とギャップが出やすいあるあるのマネジメント事例を紹介してみたい。

組織・人事コンサルティングやマネジメント研修等を手掛けている筆者が、日々多くの管理職と接点を持つ中で感じるのは、上司側も変化をしようとしていること。昔ながらのマネジメントが通用しなくなってきていること自体は、割と周知されている。しかし、残念なのはその方向性に、新入社員とギャップがあることなのだ。

「やりたいことを強制する」WILLハラスメント

その1つが、新入社員に「あなたはこの会社でどうなりたい?」「人生で実現したいことは?」といきなり壮大すぎる目標を迫ることだ。頭ごなしに話すと、パワハラだと言われてしまうこのご時世。部下の気持ちに寄り添おう、1人ひとりの意見を尊重しようと意識すること自体は素晴らしいと思う。この寄り添い方が好ましい人もいるだろう。しかし、大多数の新入社員はいきなりこの質問をされてもうまく答えられない。

マイナビが2022年卒を対象にした就職意識調査によれば、彼らの就職する企業を選択するポイントは、『やりたい仕事(職種)ができる』ことよりも、『安定している会社』であることが上回った。つまり、安定志向が強くその価値基準で会社を選んでいる人が多いからこそ、「やりたいことは何?」と、あまりにも壮大な問いを、突然問われても困ってしまう人が多いのだ。

この傾向は、就活スタイルも少なからず影響している。オンラインでの説明会なども活用して効率よく進められた反面、膝を突き合わせて社会人とじっくり話をする機会は例年より少なかった。従来、企業は新卒採用において人事やリクルーターが学生と個別接点を持ち、自己分析を手伝ったり本人の仕事に対する価値観やキャリアイメージを言語化したりしていく。こうした機会が少なかったことで、自分なりの目標がまだ漠然としている新入社員が例年よりも多い。