「ペットの福利厚生が広まらない」日本と欧米の差

ペット?福利厚生
なぜ日本ではペットの福利厚生が広まらないのでしょうか(写真: Princess Anmitsu / PIXTA)

現在の日本社会では、4世帯に1世帯は犬もしくは猫を飼育していると言われています。飼育頭数と15歳未満の子供の数を比較すると、飼育されている犬猫の数のほうが上回っています。さらに、年々1頭あたりにかける飼育費の高騰化も見受けられ、「ペットも家族の一員」という意識が社会的にも強まってきているのは、明らかでしょう。

その一方で、日本の社会環境はペットの家族化に追いついていない、と感じることはないでしょうか。例えば、ペットが理由で仕事を休みづらい、一緒に働ける環境や、利用できる飲食店が少ない、など。

2022年3~4月に株式会社SARABiO温泉微生物研究所が実施した、ペット飼育者に関する働き方についてのアンケート調査結果(調査人数430人)によると、「ペットを理由に仕事を休みづらい」と回答した方が8割にも上りました。

さらに、約9割以上の人はペット飼育者に対する福利厚生を導入している企業で「働きたい」、または「制度があったらいいな」と回答していることがわかりました。

ペットの福利厚生、実際導入されている?

実際に日本企業385万社のうちペット飼育者向けの福利厚生を導入している企業の割合は、たったの0.0002%と言われています(株式会社PETSPOT 2023年6月自社調査より)。

日本でもペットフレンドリーな取り組みを行っている企業はあります。以下が主な例です。

富士通:愛犬と出勤できる部屋としてドッグオフィスを設置。小型犬など条件を設けたうえで、愛犬と一緒に働ける環境を提供。

東京都港区:東京都港区では区役所で働く職員向け厚生会に、会員本人が飼育するペットに要した費用を補助するプランを提供。(年間2万3000円上限)

日本ではこのような先進的な取り組みを行っている企業や自治体は多くなく、働く環境において「ペット」の存在を考慮することが少ないのが現状です。

欧米と日本の福利厚生、差がある背景

一方で、欧米企業ではさまざまなペットの福利厚生が導入されています。欧米企業と日本企業のペットの福利厚生には、なぜ差があるのでしょうか。それは、法律面や生活環境面において、ペット先進国の代表であるアメリカやイギリスとの雇用形態や、キャリア形成の固定観念との違いがあるからだと考えられます。

日本企業の平均勤続年数は、2010年以降約12年が平均とされる一方、アメリカ企業の勤続年数は、18歳から24歳の87%、35歳~44歳の61%が5年未満と、日本の約3分の1ほどです。

日本企業では従業員により長く働いてもらうために、全員を対象にする制度が重視される背景があります。そのため、一部の社員を対象とした福利厚生を導入する企業は少ないと考えられます。

対して、アメリカやイギリスは、キャリアアップのために転職を繰り返すことに抵抗感が低く、一度入った会社に長く勤め、定年を迎えるという意識がほとんどありません。

より優秀な人材を採用する機会を増やすため、多様な背景がある従業員に合わせて、さまざまな制度を用意している場合が多いとされています。

アメリカでは「平等な体験を確保するために、各個人に必要なサポートを提供する」という考え方を持つ企業が多いです。例えば養子を迎える同性カップルへの産休制度、代理母費用の補助など、多様な生き方をサポートする福利厚生を取り入れる傾向があります。

そうすることで、下記のようなメリットがあげられます。

メリット1:優秀な人材獲得につながる

ユニークな福利厚生を活用することで、メディアからの注目が集まるようになり、企業の認知度UPやブランディングにつながります。その結果、求人応募の増加が見込め、企業が求めている人材を獲得しやすくなるといったメリットが考えられます。