一斉休校で注目の「オンライン学習」で教育が激変…学習塾や大学でも映像授業化が加速

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「gettyimages」より

 全国の小・中学校や高校に一斉休校が要請されるという異例の事態で注目を集めたのが、自宅にいながらパソコンやスマートフォンで授業が受けられる「オンライン学習サービス」だ。学研などの教育系出版社や堀江貴文氏がかかわる「N高」など、学習動画を無償公開する事業者が続々と登場し、授業のライブ配信からアーカイブ動画、テキストのダウンロードまで、その内容は多岐に渡る。

 オンラインで受けられるサービスは、対面授業を代替し得るものなのか。塾や企業、学校などにeラーニングサービスを提供するデジタル・ナレッジ代表取締役COOの吉田自由児氏に、eラーニングの導入事例や今後の展望について聞いた。

令和の教育は「エドテック」が重要に

 吉田氏によれば、令和の教育を語る上で「EdTech(エドテック)」がキーワードになっているという。エドテックとは「Education(教育)」と「Technology(技術)」を組み合わせた造語で、AIや動画、オンライン会話などのデジタル技術を活用した教育技法を指す。

 エドテックが世界的な広がりを見せるなか、日本でも2018年1月に経済産業省が有識者会議を立ち上げ、学習用タブレットを生徒1人に1台ずつ配る施策を行うなど、デジタル学習を推進する動きが加速。従来、教育ベンチャーが自己発生的に扱っていたサービスが、国を挙げた教育改革に盛り込まれているのだ。

「学校教育の場においても、紙に代わってタブレットやPCベースの教育になりつつあります。また、今の子どもたちは動画で情報を得るのが当たり前の世代なので、今回の一斉休校でも、学校に通わずに受けられるエドテックサービスが受け入れられたのではないでしょうか」(吉田氏)

 エドテックのサービスは3つに大別される。1つ目は、対面授業の代替えとしての映像配信。2つ目はドリル学習の代わりとしてのテキスト教材やオンラインテスト。そして、3つ目がコミュニケーションツールだ。一斉送信のメールでは対応しきれない、個人に向けた伝達事項や相談事を管理するためのコミュニケーションツールが教育現場で必要とされており、こうしたサービスも法人向けに一部無償提供されているそうだ。

「各教育企業は認知度を高めようという意図もありつつ、その多くは社会問題を解決したいという善意のもとで動いていると思います。サービスの性質上、物ではなく情報が動くだけなので、100人でも1000人でも配信コストは大きく変わりません。だからこそ、無償提供が実現できているという側面もあります」(同)

 また、初等教育については国語・算数・理科・社会といったメイン教科以外のサービスも豊富なのだという。

「この機会に、2020年度から小学校で必修化となる英語やプログラミングを勉強できるようにしたり、創造性を高めるような科学教育、芸術教育などのサービスが提供されたりしています。これらの分野は、科学技術を活用・創出できる人材を育もうという『STEAM教育』の観点からも需要が高まっています」(同)

eラーニングで卒業できる学校が急増

 学習塾では、小中高校以上にエドテックの活用が進んでいる。大人数が教室に集合する従来の授業形式から、個別指導へ。そして、今のメインストリームは、「東進ハイスクール」や「河合塾マナビス」が採用している映像授業形式だという。

「映像授業には、一流の講師陣の授業を全国変わらぬクオリティで、しかも自分のペースに合わせて受けられるというメリットがあります。また、オンラインだけでは難しい『学習の動機付け』の部分は、塾に常駐しているチューターが担います。教育はオンラインで、指導や個別の相談は生身の人間が対応するという具合に、うまく機能を分けて運用しているのです。オンラインで叱咤激励してくれる機能やサービスが付加されれば、より在宅化に対応しやすくなるでしょう」(同)